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ProductZine Dayの第2回開催です。

ProductZine Day 2024 Winter

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PMが知っておくべき、プロダクトマネジメントで重要な100のこと

プロダクトマネージャーに必要な“五感ベースの質問力”とは? 顧客の真の課題を見抜きPSFを達成する

PMが知っておくべき、プロダクトマネジメントで重要な100のこと 第5回

 日本でも徐々になじみの出てきた「プロダクトマネージャー(PM)」ですが、その役割や認識は業界、企業、人によってさまざま。これという正解はなく、みな手探りでプロダクトに向き合っているでしょう。そこで本連載では、プロダクトマネジメントにおいて最も重要だと思うことを、プロダクトマネージャーとして活躍する方や、プロダクト開発の現場の経験が豊富な方に、自らの経験を踏まえて解説していただきます。これからPMになる方、PMとして現場で悩んでいる方に、少しでも役立てば幸いです。今回のテーマは「顧客の本音に気づきPSFを達成するための“五感力”」について。eKYC対応(本人確認を電子的に行う仕組み)のデジタル身分証アプリを開発するTRUSTDOCKのプロダクトを率いる菊池梓さんが解説します。(編集部)

今回の対象読者

  • すでにプロダクトマネジメントに取り組んでいる“PM中級者”の方

「PMの五感力」でProblem/Solution Fit(PSF)に立ち向かう

 日本で唯一のeKYC対応のデジタル身分証アプリ「TRUSTDOCK(トラストドック)」を提供するTRUSTDOCKの取締役COOの菊池梓と申します。「プロダクトマネージャーの本質は五感力にある」という考え方は、以前のインタビューの際に引き出していただいたものです。今日はこの部分を掘り下げ、私がプロダクトマネジメントにおいて重要だと考えている「五感力」とは何か、なぜプロダクトマネージャーには五感を研ぎ澄ませるときがくるのかをお伝えいたします。

 プロダクトマネージャーの「五感力」が最も必要になるのは、Problem/Solution Fit(PSF)の段階です。経験した方にとってはイメージしやすく、時には苦しさも思い出されます。いわば「針の穴に糸を通す作業」ですよね。

 プロダクトマネージャーは市場に受け入れられるユースケースを見つけるために、プロダクトの品質・API・提供物・価格・横展開可能な顧客数のすべてを考えます。「コストパフォーマンスを常に考えている」と言われることが多いのですが、それは頭をフル回転されているからでしょう。

 しかし、考えられることを考え尽くしても「製品が市場に受け入れられる」保証はまったくありません。

 ここで「プロダクトマネージャーの五感力」が重要になってきます。頭で考えられるすべてのことを考え尽くしたあとに、五感が試される瞬間が訪れます。

「PMの五感力」が発揮されると「顧客の製品への本音」が浮かび上がる

 ここで言うプロダクトマネージャーの「五感力」とは、「質問力」と言い換えられる部分が大きいです。つまり、「正しい情報の収集と課題解決のために、正しい問いを立てる力」です。あえてこれを“五感”力と呼ぶのは、五感を研ぎ澄ませれば、PSFにおいて重要なクライアントのあらゆる本音に気づけるからです。

 「ユーザーインタビュー」や「ヒアリング」のときを思い出してください。想定のクライアントに製品をご提案し、その所感をまた製品に反映させるときです。

 どんなに作り込んだ製品であっても、「この製品は要らない」と顧客に言われてしまうことがありますよね。むしろ受け入れていただけないことの方が多いかもしれません。私も何度もその反応をいただきました。

 たった一言「要らない」という反応しかない場合すらあります。でも、その反応を「失敗だった」で終わらせるのか「製品開発のヒントになった」と次に活かすかは、プロダクトマネージャー次第です。

 五感を研ぎ澄ませれば、クライアントのあらゆる本音に気づけます。提案時のクライアントの表情はどうだったのか。自分が買う観点で考えた結論としての「要らない」なのか。コストがネックなのか。そもそも本当に要らないのかもしれません。ヒアリングした相手が製品の所感を伺う人として、適切ではなかった可能性もあります。

 これらを把握するには、頭の中だけで考えて足りるものではありません。ヒアリングの場の雰囲気も含めてすべて確認する必要があるのです。だから「プロダクトマネージャーには五感力が必要である」、特にPSFの段階では必須の能力であるといっても過言ではないと考えています。

次のページ
「PMの五感力」は「質問力」の形をとって現れる

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この記事の著者

菊池 梓(TRUSTDOCK)(キクチ アズサ)

 株式会社TRUSTDOCK 取締役COO。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://productzine.jp/article/detail/182 2021/03/18 11:00

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