AARRRモデルをおすすめする理由
第1回の今回は、UX改善の羅針盤となるAARRR(アー)モデルを軸に、アプリを成長させていくための戦略と考え方を解説します。ユーザー獲得からロイヤリティの向上まで、各フェーズにおけるUXのポイントと具体的な改善手法を紹介していきます。
アプリにおけるAARRRモデルとは
AARRRモデルは、プロダクトやサービスの成長過程を5つのフェーズに分けて、ユーザー行動を分析するフレームワークです。このモデルは、アプリに限らず幅広いプロダクトやサービスに適用できますが、今回はアプリに焦点を当てて解説します。
アプリ自体のフェーズとしては、ユーザーがアプリを知ってダウンロードし、使い始め、定着して継続的に使用する状態になり、最終的にはコンバージョン(購入や会員登録など)に至るという過程が存在します。
それを踏まえたアプリにおけるAARRRモデルの5つのフェーズは以下のとおりです。なお、アプリの種類によっては、4と5の順番が入れ替わる場合もあります。
- 獲得(Acquisition):ユーザーがアプリを知り、ダウンロードする段階
- 活性化(Activation):ユーザーがアプリに魅力を感じ、実際に利用する段階
- 継続(Retention):ユーザーがアプリを継続的に利用する段階
- 紹介(Referral):ユーザーがアプリを友人・知人に推薦し、新規ユーザーを獲得する段階
- 収益(Revenue):ユーザーがアプリを通じて金銭を支払う段階
AARRRモデルを使うメリット
アプリのグロースに向け、各フェーズに適応した体験を提供していくために、AARRRモデルは以下のような状況で活用できます。
- アプリが成長過程のどこにあるのかを大局的に把握する
- 特定した課題改善の優先順位をつける
また、アプリの提供目的はさまざまですが、多くの場合は何らかのビジネスゴールに向けて運用されていると思います。そのビジネスゴールを達成するためには、アプリの運用担当者以外に複数の方が関わることも多いでしょう。
このフレームワークを使用することで、立場や目標の異なる関係者が共通の認識を持って活動できるようになります。
例えば、新規ユーザー獲得を担当する人の場合、ダウンロード数だけをKPIにして、単に数を追求してしまうことも起こり得ます。しかし、その先の継続率まで考慮できれば、どのようなユーザーを獲得すべきかの判断が可能になります。部門間でミッションが異なっても、次のフェーズへの転換方法や適切なUIデザインについて共通認識を持って開発を進めることができるのです。