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「組織内で新規プロダクト開発が進まない」課題を解決する。バーチャルDX環境「REDラボ」とは?

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2021/06/10 11:00

 現在多くの企業がDXに取り組んでいるが、成功事例はなかなか聞こえてこない。その背景には「取り組みを具体化できない」「成果が見えず、継続できない」「デジタル化を目的にしてしまい、ユーザーにとって価値のないプロダクトが生まれてしまう」などの課題があるという。こういった問題を解決し、DXを進めるための仕組みとして、レッドジャーニーが今年4月8日から提供を開始したのが、バーチャルDX環境サービス「REDラボ」である。DXにおけるプロダクト開発の課題を打開する鍵は何なのか。同サービスを活用するとなぜ、DXが推進できるのか。レッドジャーニー主催のオンラインイベントで同社代表の市谷聡啓氏が解説した。

目次

DX推進には「探索」と「深化」を両立させる、両利きの経営が必要

 市谷氏が代表を務めるレッドジャーニーは、2017年に組織変革から新規事業・プロダクトの立ち上げに伴走し、ともに実践する組織体として設立された。市谷氏は、同社代表としてDX伴走を支援する他、政府CIO補佐官として、省庁DXやアジャイル開発の推進に従事。またリコーではCDIO付DXエグゼクティブとして、リコーの経営者と共にDXを推進する役割も担っている。

株式会社レッドジャーニー  代表 市谷聡啓氏
株式会社レッドジャーニー 代表 市谷聡啓氏

 市谷氏がDXやプロダクト開発の課題について問いかけると、参加者からは「従来のシステム開発とは違う視点が求められる」「事業間・職務間の分断がある」「経験の蓄積が属人化している」「デジタルで作ることを主眼にしてしまい、ユーザーにとって価値のないプロダクトが生まれてしまう」といったコメントが上がった。これらの課題感に市谷氏も同意する。

 課題が見えてきたところで、市谷氏はDXという言葉の認識合わせから始めた。市谷氏はDXを「提供価値の変革と組織の変革という2つの変革をもたらす活動だ」と説明する。

 環境の変化によって、顧客や社会のニーズは変わって行く。それを適時、適切につかんでデータやデジタル技術を活用したプロダクトを作り、提供する必要がある(提供価値の変革)。これに加え、変化に応じて企業も適切にトランスフォーム(組織の変革)をしていかねばならない。そのためには「業務やプロセス、組織、企業文化・風土まで手を入れていくことが必要」と市谷氏は言い切る。

 DXに必要な2つの要素の内、今回は「提供価値の変革」にフォーカスして説明を続けた。

 従来の事業をより発展させ、収益を上げるためには、プロダクトの改善や深掘りをするなど、深化の能力が必要である。一方、新規事業に求められるのが、「顧客のニーズを捉えた上で仮説を立てて検証し、今までにないものを作っていく探索的な能力」だと市谷氏は言う。参加者からも課題としてあがったように、デジタルを使うことを目的にいい感じのサービスを作っても、顧客のニーズをとらえきれていなければ意味がない。既存事業に必要となる能力と新規事業に必要となる能力はまったくの別物だというわけだ。

 「この探索する能力が不足しているために、新規事業が進んでいない。新規事業を進めるためには探索の能力を獲得しなければならない」と市谷氏は指摘する。このようにこれまでの既存事業とこれからの新規事業とでは求められるケイパビリティ(組織能力)が異なるため、今までの基準で評価してはならないという。そのためにも「適切な分離が必要です。組織を分けることをお勧めする」というのだ。

 このようにDXを推進する企業に求められるのは、「探索」と「深化」を両立させる、両利きの経営だという。

 ただし、このような両利きの経営を背景にしたとしても、新しいビジネスや事業を次々と作っていけるわけではない。続いてポイントとなるのは、DXの4つの段階設計「DXジャーニー」だ。

DXは多段階的に進める

 DXはプロセスや体制、文化など何もかも変えていくことだと前述した。だが、「最初から全部を変えようとしないこと」と市谷氏は言う。人が変化についていけないからだ。そういう状況の中で、高邁な施策を打っても適用することが難しい。だからこそ、DXジャーニーに示すように、多段階的なトランスフォームに挑む必要があるという。

DXジャーニー
DXジャーニー

 まず取り組むのが、業務のデジタル化である。「今までやってきた業務をデジタル化するわけではない。特にコミュニケーションに関するところをデジタル化することです」と市谷氏。

 続いて、「つくる」のトランスフォーメーションを進める。開発技術やプロセスなどをモダンにしていくのである。コミュニケーションのデジタル化など、「つくる」過程のトランスフォーメーションをすることで、変化に適応できる足場を構築する。

 その上でビジネスのトランスフォーメーションをする。「ここで必要になるのが仮説検証」だと市谷氏は言う。ビジネスの確からしさを知るために仮説検証に基づく実験を繰り返し、小さくても結果を積み上げていくのである。ここまでできて初めてDXが始まるというのだ。


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著者プロフィール

  • 中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)

     大阪府出身。教育大学卒。大学時代は臨床心理学を専攻。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在はIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。...

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