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ProductZine Dayの第2回開催です。

ProductZine Day 2024 Winter

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「アウトソーシングの時代を終わらせる」――ゆめみの内製化支援サービス(AD)

これからスクラムを導入するプロダクトチームが知っておきたいこと――着手の仕方やチーム分割のタイミング

「アウトソーシングの時代を終わらせる」――ゆめみの内製化支援サービス 第2回

スクラムマスターが「チームの分割」を考えるべきタイミング

――クライアントとのスクラムをはじめて5年が経過し、現在はチーム内に複数のスクラムを編成されているそうですね。チームのメンバーが増えることで、スピードが落ちてしまう点を課題と感じるケースも多いようですが、ゆめみでは、どのように対応されていますか。

 内藤:チームに新しいメンバーが加わる時というのは、課題が具現化しやすいタイミングでもあります。新メンバーが仕様を十分に把握したり、開発環境を構築したりするのに時間が掛かり、それが原因でスピードが落ちてしまうというのは、ある程度は仕方のないことです。

 その点では、普段の作業の中で、オンボーディングのためのドキュメントを作ったり、それを見ても分からない場合の相談相手を決めたりといった形で「新しく入ってきたメンバーが困らない仕組み」を作ることを、段階的にやってきました。その仕組みについてもフィードバックをもらい、問題があれば改善を積み重ねている状況です。

 そして、さらに人数が増えた段階で、チームの分割を検討しました。開発に関わるメンバーが増えると、会議で話される内容も広範にわたってきます。そうなると「あぁ、自分とあまり関係のないことを話しているな」とか「今日の会議、しんどいな」と感じる人が、どうしても増えてきます。全員が参加しなければならない会議の時間が長くなれば、結果として全体のスピードも落ちていきます。

 自分がスクラムマスターをやるようになってから、開発のスピードを落とさず、チームをスケールしていくためには、チームを分割していく必要があると感じていました。幸い、エンジニアの中に、スクラムに興味を持ったメンバーが複数いたこともあり、彼らにチームを任せることにしました。

 恒田:そのタイミングで、スクラムマスターになったうちの一人が私です。私は、ある程度人数が増えてからチームに加わったのですが、その時から、すでに会議の時間はかなり増えていましたね。「どうしたら、この状況を変えられるのか」という観点から、スクラムの手法に関心を持ち始めました。

 ゆめみでは、社内で定期的に勉強会が行われているのですが、そこで内藤さんがスクラムについて話してくれたことがありました。それをきっかけに「今のチームでは、どういう改善ができるか」と考える中でチーム分割の話があり、スクラムマスターをやってみようと決心しました。

 分割したチームは、スクラムマスターである私と、エンジニア5人の編成です。チームの役割は明確に分けられているので、実装にあたっては、どの部分を開発するかといった基本的な部分だけを、全体とすり合わせておけば、集中して作業に取り組めます。元のチームが大規模になって、各メンバーが考えなければならないこともどんどん増えていたのですが、分割をしたことで、それがシンプルになったのは良かったと思っています。コミュニケーションすべき相手や時間が明確になったため、スピード感は確実に増しました。

ツールを駆使して不足しがちなコミュニケーションを補完

――初期は「コミュニケーション」の改善からスタートされたとのことでした。企業間でチームを組織していることに加えて、近年ではコロナ禍の影響もあり、十分なコミュニケーションが難しい状況だと思うのですが、どのような対策をとっていますか。

 内藤:冒頭にもお話ししたとおり、スクラム開発において、メンバー間のコミュニケーションは極めて重要です。特に「対面」でのコミュニケーションが効果的なのですが、それが難しい状況もあります。われわれの場合は、複数のツールを駆使して、少しでもコミュニケーションの頻度と質を高めようと試行錯誤しています。

 恒田:基本にしているのは、Slackのようなテキストチャットと、Zoomのようなオンライン会議のツールです。あと、新しいところではバーチャルオフィスツールの「oVice(オヴィス)」も使っています。これは、実際のオフィスにいる時のように、ルーム内で別のメンバーが作業していたり、何人かが集まって立ち話をしていたりといった状況をオンラインで生みだしてくれるツールです。近くにいる人に気軽に声を掛けたり、立ち話に何気なく加わったりというのは、いわゆる「オンライン会議」では再現ができないシチュエーションなので、そうした部分を埋めるものとして導入しています。

oViceで打合せを行う様子
oViceで打合せを行う様子

 内藤:そのほかにも、「Miro」というホワイトボードアプリケーションをSlackと組み合わせて使ったり、ゆめみ独自に作ったSlackのアドオンで「ありがとうフィードバック」のようなカジュアルなコミュニケーションができるようにしたりと、いろいろ工夫しています。

 恒田:オンライン勤務が中心になって、特に感じるのは「雑談」的なコミュニケーションの重要度が、さらに増しているということです。これについては、体調報告でも何でもいいので、意図的に「雑談」をするように、メンバーに意識してもらっています。雑談の重要性については、クライアント側にも理解してもらえていて、会議の最後に、参加者全員での「雑談タイム」を設けたりしました。

実践で蓄積したノウハウを共有し組織としてのスキル向上を目指す

――この案件での取り組みをきっかけに、今後ゆめみでは、どのような形でスクラムの習熟度を高めていきたいと考えていますか。

 内藤:社内外の協力もあり、複数のチームがそれぞれに動きながら、プロダクト全体の質とリリース速度を上げていく体制が、きちんとできあがってきました。今後も、役割をバランスよく振り分けながらチームを分割していけば、プロダクトをうまくスケールさせていけるだろうとの手応えを感じています。

 その成果については、社内の勉強会などを通じて、他のクライアントを支援しているチームなどとも共有し、それぞれに、自分たちの案件で応用できるようにしていきたいと思っています。

 恒田:私はスクラムマスターをはじめたばかりですが、困りごとが出てきたときに、内藤さんをはじめ、社内にコーチ的な立場でアドバイスをしてくれる人がいて良かったと感じています。また、先輩だけでなく、チームメンバーからのフィードバックも、スクラムの進め方を改善していく上での重要なヒントになっていると感じています。大勢の人に助けてもらったり、逆に助けたりしながら、組織としてのスキルを高めていきたいですね。

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この記事の著者

高橋 美津(タカバシ ミツ)

PCやネットといったIT分野を中心に、ビジネスやゲーム分野でも執筆を行うフリーランスライター。Windowsユーザー。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

斉木 崇(編集部)(サイキ タカシ)

株式会社翔泳社 ProductZine編集長。 1978年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科(建築学専門分野)を卒業後、IT入門書系の出版社を経て、2005年に翔泳社へ入社。ソフトウェア開発専門のオンラインメディア「CodeZine(コードジン)」の企画・運営を2005年6月の正式オープン以来担当し、2011年4月から2020年5月までCodeZine編集長を務めた。教育関係メディアの「EdTechZine(エドテック...

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