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ProductZine Day&オンラインセミナーは、プロダクト開発にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「ProductZine(プロダクトジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々のプロダクト開発のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

ProductZine Dayの第2回開催です。

ProductZine Day 2024 Winter

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プロダクト開発の先進事例に学ぶ、キーパーソンインタビュー

エンジニアからプロダクトマネージャーへの転身がもたらしたもの――Rise UP上園氏のキャリアに見る越境の意義

 「世界をつなぐエンターテイメントカンパニーを創る」をビジョンに掲げてビジョンドリブンに事業運営を行っている株式会社Rise UP(ライズアップ)。同社でカラーコンタクトレンズ通販サービス「MORECONTACT」のプロダクトマネージャーを担う上園元嗣氏は、エンジニアとして入社した後に現職へと転身しました。今回は上園氏に、プロダクトマネージャーへの越境がもたらした利点や、同職を務めるうえでのノウハウについて伺いました。

株式会社RiseUP モアコンタクト事業部 事業部長 上園元嗣
株式会社RiseUP モアコンタクト事業部 事業部長 上園元嗣

2013年レバレジーズ株式会社へ入社。同社で新規事業の立ち上げを担当した後、オンラインカウンセリングサービスを開発し起業する。非エンジニアとしての事業開発経験からエンジニアへ転向することを決意し、2016年に株式会社RiseUPへ入社。自社ECサービス開発を中心に、社内業務支援ツールなど幅広い開発を担当。現在は主幹事業であるモアコンタクト事業部の事業部長を務め、プロダクトマネージャーとしてアジャイルな活動を起点とした事業推進に従事しており、さらに組織全体へアジャイルな文化を広げるための活動に挑戦中。

エンジニアからプロダクトマネージャーへの転身

──上園さんはRise UPでエンジニアとして働かれていたそうですが、なぜプロダクトマネージャーに転身されたのでしょうか?

上園:私はもともと事業をつくりたいという気持ちが強かったため、プロダクトマネージャーへの転向のチャンスがあった際に、ぜひやってみたいと思ったことがきっかけです。

 私のキャリアをふり返りますと、新卒時点で将来的には自分の力で事業をつくれるようになりたいと思いながら就職活動をしていました。最初に入社した会社で新規事業の立ち上げに従事した後、起業して中小事業向けメンタルヘルスを提供するWebサービスの立ち上げを経験しました。

 ですが、エンジニアリングのスキルがなかった当時の自分は、自分の描くビジョンや世界観をエンジニアに伝えるのにとても苦労したのです。事業がうまくいかなかったため、自分はエンジニアの思考回路やスキルを身につけることが必要だと感じ、エンジニアになることを決意しました。

 就職先を探すなかで出会ったRise UPのビジョンやバリューに共感して入社し、エンジニアとしてさまざまな経験を積んだ後、過去の経験を生かしながら事業成長を促す役割として、プロダクトマネージャーにならないかという声がかかりました。

――エンジニアとプロダクトマネージャーは求められるスキルが異なると思うのですが、どのような点に差があると感じますか?

上園:前提として、どちらの職種も問題解決を行うという点は共通しています。ですが、課題を見つけている時間や、問題が発生する理由を考える時間はプロダクトマネージャーになってから圧倒的に増えたと感じますね。一方で、問題を特定して解を発見した後の作業には基本的に携わらなくなったため、Howを考える比率が下がり、WhyやWhatを考える比率が上がりました。

ユーザーインサイトを理解し、課題を発見する

――課題を発見する業務の割合が増えたとのことですが、例えば「MORECONTACT」においては、どういった課題を発見することが必要なのでしょうか?

上園:カラーコンタクトレンズを購入する女性の方々が、なぜその商品を選ぶのかを理解する必要があります。

 かつて、自分はその本質的な理由を理解できておらず、単純に可愛くなれるからだろうとか、あくまで化粧の一部として着用しているのだろうとしか捉えていませんでした。ユーザーインタビューを重ねるなかで、ようやく徐々にインサイトを理解できるようになってきましたね。

 インサイトの傾向は大きく2つに分かれます。ネガティブな状態をポジティブにするためにカラーコンタクトレンズを着用する方と、ポジティブな状態をよりポジティブにするために着用する方です。

 前者はご自身にあまり自信を持っておらず、カラーコンタクトレンズを着けることで前向きな気持ちになれます。一方、後者はすでに自信を持っており、美しさをさらに演出するためにカラーコンタクトレンズを着用されている。両者のどちらにリーチするかによって、アプローチの手段が全く変わってきます。

 前者には、どのような問題を抱えているのかをカウンセリングするようなアプローチが望ましいです。一方、後者には商品のレビューやモデルの写真などを提示して、こんな姿にあなたもなれます、という訴求の方が効果的になります。

――自分がユーザーではない商品を、ユーザーがどういった考えで手に取るのか理解するのは難しいと思います。どういった手段を活用されていますか?

上園:私の場合は、事業を整理して検証するためのツールである仮説キャンバスと、ユーザーの行動とそれに紐づく感情や思考の動きを時系列にまとめるカスタマージャーニーマップをよく活用しています。

 それらを作成するなかで出てきた不明点に対し、仮説を立てたうえでユーザーインタビューを実施するような形です。自分たちが想定していた内容の是非を検証しながら、仮説をファクトに変えていきます。仮説キャンバスとカスタマージャーニーマップは、プロダクトマネージャーを目指されている方にはぜひ身につけていただきたい、おすすめの手法ですね。

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エンジニアサイドとビジネスサイドが連携し合う意義

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この記事の著者

中薗 昴(ナカゾノ スバル)

 週の半分はエンジニア、もう半分はライター・編集者として働くパラレルキャリアの人。現職のエンジニアとして培った知識・経験を強みに、専門性の高いIT系コンテンツの制作を行う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

小林 真一朗(編集部)(コバヤシシンイチロウ)

 2019年6月よりCodeZine編集部所属。カリフォルニア大学バークレー校人文科学部哲学科卒。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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