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ProductZine Day 2024 Summer

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Mixpanel, Incからのプロダクトティップス

プロダクトの改善に注力することが、新機能リリースと同じくらい大事な理由

Mixpanel, Incからのプロダクトティップス 第15回

 グローバルで7000社以上の導入実績をもつプロダクト分析ツールのベンダー「米Mixpanel社」のキーパーソンによる海外ブログ翻訳記事です。プロダクトマネージャーの日々の業務に役立つ、さまざまな知見をお届けします。今回は、新機能の追加と同じくらい重要な、ユーザーワークフローの段階的・継続的な改善について解説します。

編注

 原文:「Why focusing on product polish is as important as your next feature」。翻訳にあたり若干加筆修正を行っています。

ユーザー体験の維持に欠かせないユーザーワークフローの改善

 プロダクト、エンジニアリング、デザインの各チームは、「次に何を開発すべきか」についての意見が対立することがあります。ほとんどの場合、この議論は、「現在のプロダクトに新しい機能を追加すること」の検討から始まることが多いです。

 新機能の検討から新しいプロダクト開発に議論がステップアップするというこの流れは、まったく新しい機能や新しいプロダクトの開発につながったり、現在のプロダクトの価値をより高いレベルに引き上げたりする可能性があるため、このような議論が展開されることはとても素晴らしいことです。

 しかし、その一方で、現在のプロダクトにおいて、ユーザーワークフローを改善して、問題を取り除く、という選択肢もあります。具体的には、ユーザーが現状のプロダクトや機能が提供する価値によりアクセスしやすくなるよう、小規模で段階的なアップデートを行う、という方法です。このような改良は、魅力的な新機能の追加に比べると見過ごされがちですが、ユーザーの主要なエクスペリエンス(体験)を最新かつ使いやすく維持するためには欠かせないものです。

段階的なアップデートをおろそかにしないこと

 基本的に、段階的なアップデートを優先しないプロダクトチームは、まるで「機能だけを作成する工場」とも言えるような状態になってしまいます。これは、自分たちが作り上げてきた現状の価値を維持することなく、代わりに新しい価値を作り上げようとすることです。顧客の期待は時間とともに高まる傾向にあるため、プロダクトの品質改善に投資しないチームは、プロダクトのメインの利用環境が陳腐化してしまったり、ユーザビリティの問題が浮き彫りになったりする危険性があります。

 段階的なアップデートをする上で最も困難な部分は、ビジネスインパクトを正当化することです。このアップデートへの投資は、収益や市場シェアといった指標を直接的に向上させることよりも、ユーザーの将来的な離反を阻止することに貢献します。プロダクトはユーザーに価値を提供するものですが、もし、その利用の過程で多くの問題があれば、ユーザーは同じ価値を見つけようと、他のプロダクトを探し始めるでしょう。

 これらの問題は、一つひとつは小さなものですが、いくつも重なるとフラストレーションのたまるワークフローになっていきます。だからこそ、ユーザーがまだ気づいていないような問題に、先手で対処できる段階的なアップデートを積極的に行うことが重要なのです。後手後手では、手遅れとなり、ユーザーはプロダクトから離れていってしまうでしょう。

次のページ
適合性とアップデートの最後の仕上げ

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この記事の著者

マーベリック・リー(Mixpanel, Inc)(マーベリック・リー)

Mixpanelのスタッフ プロダクトマネージャー。7年間に亘り、プロダクトチームとエンジニアチームにおいて活躍している。前職はLinkedInのSE。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

ルーク・ペッドデモーズ(Mixpanel, Inc)(ルーク・ペッドデモーズ)

Mixpanelのプロダクトマーケティング マネージャー。プロダクトチーム、マーケティングチームとともに、新機能のローンチや、製品価値のコミュニケーションを担当している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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ProductZine(プロダクトジン)
https://productzine.jp/article/detail/2173 2023/11/29 10:00

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