編注
原文:「Why focusing on product polish is as important as your next feature」。翻訳にあたり若干加筆修正を行っています。
ユーザー体験の維持に欠かせないユーザーワークフローの改善
プロダクト、エンジニアリング、デザインの各チームは、「次に何を開発すべきか」についての意見が対立することがあります。ほとんどの場合、この議論は、「現在のプロダクトに新しい機能を追加すること」の検討から始まることが多いです。
新機能の検討から新しいプロダクト開発に議論がステップアップするというこの流れは、まったく新しい機能や新しいプロダクトの開発につながったり、現在のプロダクトの価値をより高いレベルに引き上げたりする可能性があるため、このような議論が展開されることはとても素晴らしいことです。
しかし、その一方で、現在のプロダクトにおいて、ユーザーワークフローを改善して、問題を取り除く、という選択肢もあります。具体的には、ユーザーが現状のプロダクトや機能が提供する価値によりアクセスしやすくなるよう、小規模で段階的なアップデートを行う、という方法です。このような改良は、魅力的な新機能の追加に比べると見過ごされがちですが、ユーザーの主要なエクスペリエンス(体験)を最新かつ使いやすく維持するためには欠かせないものです。
段階的なアップデートをおろそかにしないこと
基本的に、段階的なアップデートを優先しないプロダクトチームは、まるで「機能だけを作成する工場」とも言えるような状態になってしまいます。これは、自分たちが作り上げてきた現状の価値を維持することなく、代わりに新しい価値を作り上げようとすることです。顧客の期待は時間とともに高まる傾向にあるため、プロダクトの品質改善に投資しないチームは、プロダクトのメインの利用環境が陳腐化してしまったり、ユーザビリティの問題が浮き彫りになったりする危険性があります。
段階的なアップデートをする上で最も困難な部分は、ビジネスインパクトを正当化することです。このアップデートへの投資は、収益や市場シェアといった指標を直接的に向上させることよりも、ユーザーの将来的な離反を阻止することに貢献します。プロダクトはユーザーに価値を提供するものですが、もし、その利用の過程で多くの問題があれば、ユーザーは同じ価値を見つけようと、他のプロダクトを探し始めるでしょう。
これらの問題は、一つひとつは小さなものですが、いくつも重なるとフラストレーションのたまるワークフローになっていきます。だからこそ、ユーザーがまだ気づいていないような問題に、先手で対処できる段階的なアップデートを積極的に行うことが重要なのです。後手後手では、手遅れとなり、ユーザーはプロダクトから離れていってしまうでしょう。