編注
原文:「To build a data culture, focus on outcomes」。翻訳にあたり若干加筆修正を行っています。
達成したい成果を明示して測定し、組織全体で戦略的に連携する
データカルチャーについて考えるとき、膨大なチャートや数字が並んだマルチスクリーンのダッシュボードを想像する人が多いのではないでしょうか。しかし、このイメージは、効果的なデータカルチャーの実際のイメージとはかけ離れています。
高級食材を購入して料理をしても一流のシェフにはなれないように、意思決定にデータを利用するだけではプロダクトやビジネスの構築は成功しないでしょう。
実際、企業が所有するデータ量と、企業におけるデータカルチャーの定着度合いに相関関係はありません。しかし、私はこれまでに、データウェアハウスに何百万もの膨大なデータが保存されている大企業が、この「所有するデータ量とデータカルチャーの定着度合いには相関関係がない」という基本的な事実を理解できず、苦戦しているのを見てきました。
データカルチャーの健全な姿とは、全社員が企業の達成したい成果を理解し、成果の評価方法が明確であることです。
これは当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、本当に成果を重要視しているプロダクトチームや企業はほとんどありません。その結果、多くのチームや企業は長い期間をかけて間違った機能やプロダクトを作ってしまうのです。
このような無駄と非効率を解決してくれるのがデータです。データがあれば、企業はより良いプロダクトを作り、早く成長することができるでしょう。しかし、これはデータがきちんと使用されている場合のみに当てはまります。
データカルチャーを醸成する方法
データのためにツールやデータにこだわりすぎないこと。
データカルチャーを醸成するということは、チーム全員にSQLコードを書かせたり、高度なダッシュボードを構築したりすることではありません。
データにはさまざまなものがあります。リーダーによく起こりがちな間違いの一つに「データは定量的でなければ役に立たない」と思い込んでいることです。定性的なデータが最も効果的なデータであることもあるからです。
例えば、BtoB企業の場合で考えてみましょう。ある特定の顧客セグメントにおけるユーザー成長にフォーカスしたい場合、その目標は「その顧客セグメントにおけるケーススタディのために、より多くの重要な顧客を獲得する」というシンプルなものかもしれません。
このように成果を考えることは、成功を評価するために使うデータの種類よりも、データカルチャーが定着した証拠となります。その結果、チームはデータのために機能やソリューションを構築するのではなく、成果を出すためにプロダクトを構築することに集中するようになるでしょう。