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ProductZine Dayの第3回。オフラインとしては初開催です。

ProductZine Day 2024 Summer

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「プロダクトマネージャーカンファレンス2023」セッションレポート

プロダクトマネージャーが直面する6つの覚悟(前編)──「カネ」と「ヒト」と「NO!」

「プロダクトマネージャーカンファレンス2023」及川卓也氏・吉羽龍太郎氏セッションレポート


 2023年11月29日に開催された「プロダクトマネージャーカンファレンス2023」では、「覚悟」がメインテーマに選ばれた。プロダクトマネージャーは、重大な責任を担いながら限られた権限の中で成果を出す必要があるため、その役割には多大な苦労と深い「覚悟」が伴う。キーノートセッションに登壇したTably株式会社の及川卓也氏と株式会社アトラクタの吉羽龍太郎氏は、プロダクトマネージャーが直面する課題や決断における「覚悟」を6つに分解して意見を交換した。今回2人が6つに分解した覚悟とは、「カネを利用する覚悟」「ヒトを巻き込む覚悟」「NOと言う覚悟」「ユーザーを巻き込む覚悟」「未完成なプロダクトを人に使ってもらう覚悟」「プロダクトや機能を終了する覚悟」。前編となる本稿では、前半3つを紹介する。

プロダクトマネージャーに求められる投資や財務への意識

 最初のテーマは「カネを利用する覚悟」。プロダクト開発には必要なリソースが伴い、その中心は金銭である。自身がベンチャーキャピタルの立場としてスタートアップに投資することもある及川氏は、「創業者たちは自らの人生を賭け、社会を変える覚悟を持っている。このような覚悟を持つ人たちが、リスクを背負いながらも投資を求める。プロダクトマネージャーにも、スタートアップの創業者と同様のマインドセットが求められることが多い」と話した。

Tably株式会社/株式会社Global Hands-On VC Founding Partner/Adobe Executive Fellow/株式会社クライス&カンパニー 顧問 及川卓也氏(左側の映像では左)

Tably株式会社/株式会社Global Hands-On VC Founding Partner/Adobe Executive Fellow/

株式会社クライス&カンパニー 顧問 及川卓也氏(左側の映像では左)

 一方、大企業においても数年での黒字化やコスト回収を期待されるが、プロダクト開発は追加投資が継続的に必要であり、黒字化していない段階でさらなる資金を経営陣に要求しなければならない。及川氏は「これも覚悟です」と加えた。

 経営層から特定のテーマでプロダクトを開発するように指示されたプロダクトマネージャーは、事実上、他人のカネを用いることとなる。吉羽氏は「他人のお金で馬券を買うようなもの」と例え、資金を使うことの妥当性について深く考える必要があることを示した。

株式会社アトラクタ 取締役CTO アジャイルコーチ 吉羽龍太郎氏(左側の映像では右)
株式会社アトラクタ 取締役CTO アジャイルコーチ 吉羽龍太郎氏(左側の映像では右)

 企業が利益を新しい事業やプロダクトへ再投資する際、その事業が期待通りの成果を生まない場合、社内での反感が生じる可能性がある。この状況では、投資の意図や目的について、経営層やマネジメントチーム、さらにはプロジェクトに直接関与していないチームメンバーに対しても説明責任が問われることになる。吉羽氏は、投資の理由や目標を明確に伝え、全員がその投資の目的に納得できるようにすることが重要であると語った。

「投資するのも撤退するのも自分のカネだと考えると意思決定しやすくなる」と話す2人
「投資するのも撤退するのも自分のカネだと考えると意思決定しやすくなる」と話す2人

 及川氏が実施するプロダクトマネージャーの研修において、以前は財務に関する話題をあまり取り上げていなかったが、ビジネスモデルや価格設定は重要との考えのもと、近年はこの領域を充実させている。及川氏自身がGoogleのような企業で財務的なリターンを考慮しないプロダクト開発に携わってきた経験があるため、当初は財務面への関心を持つことに抵抗があった。しかし、プロダクト開発に深く関わるようになると、財務面の重要性が非常に大きいと感じるようになっていった。

 スタートアップではプロダクトの成長にカネを利用し、利益を生み出し、さらには最大化することが求められるが、会社の規模が大きくなるにつれて、この意識が薄れて、プロダクトの価値が直接顧客に伝わりにくい状況が生じる。及川氏はこの実態に気づき「リアルに売る物なのだから、お金もうけを考えましょう」と指導するようになった。

 そこで及川氏がよく聞かれるのが「プロダクトマネージャーは財務面、特にProfit and Loss(損益計算・PL)を管理する必要があるのか?」という問いだ。セールス部門や営業組織がプロダクト組織とは別な場合は、直接的に損益計算書を管理することは難しい。そこで、「プロダクト責任者としては、PLに貢献できるKPIを追いましょう」と助言しているとした。

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さまざまな人たちの協力を得ながら、取捨選択をしていく(1)

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・...

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