- プロダクトマネージャーカンファレンス2023
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ユーザーを幸せにする姿勢と、それを確かにする検証は重要(1)
「ユーザーを巻き込む覚悟」におけるユーザーはBtoBやBtoCといった提供スタイルによって変わる。顧客はお金を払う人や法人であり、ユーザーは実際にプロダクトを使う人である。
BtoBでは一般的には顧客(法人)とユーザー(法人の従業員)と分離されている場合が多く、ユーザーが使うことで顧客にビジネス上のメリットが生じるため、その価値を認識してもらい、お金を払ってもらうことが重要である。吉羽氏は、顧客とユーザー双方にアプローチする必要があるものの、片方のみに焦点をあてるケースが見られることを指摘した。
及川氏は、プロダクト主導の成長(Product-Led Growth)の観点から、顧客・ユーザーのジャーニーを考慮する必要があるとした。例えば、SlackやFigmaのようなツールは、個人が無料プランで試用を始め、徐々に組織全体での使用に拡大していくパターンが多い。この過程では、最初はユーザー自身が顧客となり、その後組織全体での使用が普及し、購買部がエンタープライズライセンス契約を結ぶ形になる。
ユーザーを巻き込むことについて及川氏は、プロダクトの魅力を説明できなかったり、ユーザーへの売り込みができていなかったりするケースが多いと指摘した。プロダクトの導入が顧客にとってリスクとなる場合もあり、プロダクトを売り込む際には、顧客が感じるリスクを十分に理解した上で、それでも自信を持って勧めることが求められる。
「お客様がすでに代替手段や競合プロダクトを使用しており、それに満足しているときに『私たちのプロダクトの方が良いですよ』と勧めて導入してもらうことで、お客様を不幸にしてしまうリスクがあります。しかし、このようなリスクを恐れてセールスに消極的では、成功は望めません」(及川氏)
吉羽氏は、特に初期段階では、積極的にユーザーのもとを訪れて使用状況を観察すべきだが、恥ずかしいのかユーザーのところに行きたがらない人もいると指摘し、「未完成なプロダクトを人に使ってもらう覚悟」に話題を移した。