アンダーワークスは、大手企業の顧客データ管理の取り組み実態や顧客データ活用の動向に関する調査をまとめた「マーケティングデータ活用実態調査 2022年版」を、2月16日に公開した。同調査は、東京証券取引所に上場している全企業約3900社に対して、11月22日~12月16日の期間に行われ、309社から回答を得ている。
調査対象の企業に、マーケティングデータの活用・管理に取り組んでいるかを尋ねたところ、約半数の企業が「取り組んでいる」と回答し、その数は昨年より増加した。一方で、「未定・予定なし」という回答も増えている。
業種別でみると、通信サービス、運輸/エネルギー、金融/証券/保険といった業種で、データマネジメントへの取り組みが進む一方、商社、流通/小売、その他のサービス業では取り組みが遅れている様子がうかがえる。
マーケティングデータの管理・利活用のステージについて、自社の状況にもっとも近いものを選んでもらった質問では、統合基盤に多くのデータを統合済みであると言える企業が24.2%、統合に留まらず「分析利用」のステージにある企業は12.6%、データの部分的なデータの連携のみを実行しており、多くのデータは統合されていないステージの企業は50.8%となっている。
データ活用の取り組みで期待したい成果を尋ねたところ、「営業活動とマーケティングデータの連携(セールスイネーブルメントやABMなど)」(43.7%)がもっとも多く、「PDCAサイクル実現」(39.8%)、「Webサイトのコンテンツ強化(コンテンツマーケティング)」(37.5%)がそれに続いた。
データ統合の基盤となるテクノロジーの利用料として、年間どの程度の予算を割り当てるべきだと考えるかを尋ねた質問では、「年間5000万円以上」という回答が前年よりもわずかに増加した一方で、「わからない」とする企業も増加している。
年商2000億円以上の企業と、成熟度ステージ3(多くのデータを統合済みの企業)以上の企業に絞って、それぞれのデータ統合基盤システムへの想定予算をみると、企業規模が大きくなるほど高くなる傾向があるものの、データ活用の成熟度が高いからといって想定予算も高くなるわけではないことがわかる。
現在利用しているマーケティングデータ基盤システムとしては、汎用型のクラウドインフラ・データベースを挙げる回答が多いものの、前年よりも減少しており、「Treasure Data CDP」は昨年比1.4倍、「Adobe Experience Platform」は昨年比4倍、「Snowflake」は昨年比2.5倍と、顧客データ専用CDP(カスタマーデータプラットフォーム)への移行が進んでいる。年商2000億円以上の企業に限定すると、「Treasure Data CDP」は昨年比2.4倍と、大きくシェアを伸ばした。
データ活用・管理に取り組む際の課題を尋ねたところ、「さまざまなテクノロジーに対する専門知識や人材不足」(43.7%)が最多となり、前年のトップだった「組織間の連携や部門間調整」を上回っている。
データ活用の成熟度ステージ別では、成熟度の高い企業は「取り組み結果の効果測定」や「データ活用」に課題を持っているが、成熟度が低い企業では「取り組みへの予算確保」「統合するデータの欠如・少なさ」「散在するさまざまなテクノロジー/データの現状把握」といった課題に直面していることがわかる。
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ProductZine編集部(プロダクトジンヘンシュウブ)
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