はじめに──プロダクトマネージャーにとって生成AIは、もはや単なる業務効率化ツールを超えた存在となっている
ファインディが主催するプロダクトマネージャー向けコミュニティイベント「PM Hub」では、現場での実践知を共有するLTイベント「PM LT Night」を定期的に開催している。2025年3月21日に開催された「PM LT Night」では、5社から登壇者が集まり、セールス支援から開発プロセス変革、そして「心を理解するAI」まで、多様な生成AI活用の最前線を共有した。
編注
本記事では、「PM」はプロダクトマネージャーを指します。記事中の各位の所属および役職は、イベント開催時点(2025年3月21日)のものです。
LT1:「何のために、どこでAIを使うか──セールス・マーケティング業務のオペレーション改善」
- 発表者:松丸海太氏(株式会社CastingONE プロダクトマネージャー)
CastingONEでプロダクトマネージャーを務める松丸海太氏は、今後のプロダクト成長のための「選択と集中」を推進する中で、プロダクトマネージャーがセールス・カスタマーサクセス業務も担う状況での生成AI活用を紹介しました。
商談スクリプト自動生成で成約率向上
松丸氏は「作って計測して学んでいくサイクルを爆速で回す手段として、AIは非常に相性がいい」と説明します。具体的には、PerplexityとChatGPTを組み合わせ、以下のプロセスで商談スクリプトを自動生成しています。
- Perplexityで商談相手の企業情報を調査
- プロダクトの特徴情報をAIに読み込ませる
- 調査情報とプロダクト特徴を掛け合わせて個別最適化されたスクリプトを生成

実際に使用したスクリプトで提案商談に寄与した成果も報告されました。また、組織ダウンサイズによりインサイドセールスチームが4人から1人になった課題に対しても、顧客セグメントごとのニーズに合わせた訴求文言の作成を生成AIが支援することで、アポイント獲得に寄与しています。

総括
松丸氏の発表は「プロダクトマネージャーがプロダクト価値を理解しているからこそ、どう届けるかを他チームと連携して考えられる」というプロダクトマネージャーの本質的な役割を生成AIで拡張する実践例でした。
組織課題に直面した際に「課題の発見、ありたい姿のイメージ、まずはプロトタイプを作ってみる、それによって改善していく」という小さく早く回すサイクルをAIで加速させるアプローチが印象的でした。AIをセントラルな情報基盤として活用することで、セールス・CS・プロダクトマネジメント間の連携効率を劇的に向上させた事例として注目されます。