タナベコンサルティングは、同社が主催した「経営戦略セミナー2025」に参加した経営者・経営幹部、および全国の企業経営者、役員、経営幹部、経営企画部責任者・担当者などを対象に実施した、「2025年度 企業経営に関するアンケート」の結果を3月5日に発表した。同調査は、2024年11月6日〜12月20日の期間に行われ、2021件の有効回答を得ている。
調査結果によれば、大企業では増収増益の割合が41.9%から52.4%に増加し、とりわけ顕著な成長が期待される。中堅企業も増収増益の割合が増加し、減収減益の割合が減少する傾向がみられる。中小企業でも同様に、増収増益の割合が2024年度の36.0%から41.4%に増加して、減収減益の割合は17.1%から5.6%と大幅に減少した。

中長期的な戦略における重点テーマを尋ねたところ(複数回答)、「収益改善」(55.6%)がもっとも多く、以下「新商品・新事業開発」(44.5%)「人的資本経営・人材育成・採用(タレントマネジメントなど)」(33.3%)が続いている。「事業ポートフォリオ戦略策定・転換」(23.2%)や「組織再編」(21.3%)を挙げる回答も多く、組織や事業の再編成を通じて競争力を高めようとする動きがみられる一方で、「ESG・SDGs対応」(4.7%)や「コーポレートガバナンス・コード対応」(1.4%)を挙げる回答は少なかった。

2025年度に優先して取り組むべき事業ポートフォリオ、およびM&A戦略における経営テーマとしては(複数回答)、「新規事業開発」(56.9%)が最多となり、以下「事業ポートフォリオの最適化」(48.3%)、「シナジー効果の最大化」(35.4%)が続いている。

人的資本戦略における経営テーマを尋ねた質問(複数回答)では、「人材育成プログラムの充実」(52.4%)と「人材採用戦略の強化」(48.6%)が他を大きく引き離しており、「人事制度・評価システムの見直し」(34.1%)、「従業員エンゲージメントの向上」(31.5%)がそれに続いた。

ブランディング戦略における経営テーマを尋ねたところ(複数回答)、「ブランド認知度の向上」(52.5%)がもっとも多く、以下「従業員のブランド意識向上」(44.6%)、「ブランドビジョンの策定」(34.2%)が続いている。また、「PR活動の強化」(24.9%)や「顧客体験の最適化」(21.1%)を挙げる回答も一定数みられた。

DXの推進における2025年度に優先して取り組むべき経営テーマとしては(複数回答)、「データ分析・活用体制の構築」(33.2%)が最多となり、以下「AI・機械学習の導入と活用」(31.3%)、「ITインフラの整備・強化」(29.2%)が続いている。また、「業務プロセスのデジタル化・自動化」(28.9%)、「DX戦略の策定とロードマップ作成」(28.8%)、「デジタル人材の育成・確保」(28.8%)を挙げる回答も多かった一方で、「サイバーセキュリティの強化」(20.9%)や「クラウドサービスの活用」(16.2%)も中位にランクインした。

2025年度以降の中長期的な戦略において、企業規模別に重点テーマを分析すると、「収益改善」がすべての企業規模でもっとも多く、大企業で58.1%、中堅企業で54.9%、中小企業で55.9%と共通の課題といえる。「新商品・新事業開発」は、中堅企業と中小企業では40%以上の割合を示しているものの、大企業では35.5%とやや低い。また、「グローバル戦略策定」は大企業が他を大きく上回った。さらに、「後継経営体制構築」や「コーポレートガバナンス・コード対応」では、大企業と中堅企業が中小企業を上回り、とりわけ「コーポレートガバナンス・コード対応」は大企業が21.8%と突出している。

業績見通し別の分析では、「収益改善」(51.7%〜58.6%)がすべての業績見通しで最多となり、「新商品・新事業開発」(41.4%〜46.4%)は増収増益の企業や増収減益の企業で特に関心が高い。一方で、「人的資本経営・人材育成・採用」(25.3%〜37.9%)は減収減益企業(37.9%)で、「事業ポートフォリオ戦略策定・転換」(23.3%〜31.5%)は増収減益の企業(31.5%)でもっとも多かった。

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ProductZine編集部(プロダクトジンヘンシュウブ)
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