コクヨは、全国の10〜70代以上の男女を対象に実施した「インクルーシブデザインに関する生活者意識調査」の結果を3月16日に発表した。同調査は2025年12月4日〜11日の期間に行われ、9894名から有効回答を得ている。

調査対象者に「インクルーシブデザイン」という言葉の理解度を尋ねたところ、「説明できる・なんとなくわかる」と答えた人は11.9%に留まった。これは「SDGs」(59.9%)や「バリアフリー」(72.8%)を大きく下回る結果となり、認知度は依然として発展途上にあることが浮き彫りとなっている。一方で、その概念を提示した上で印象を尋ねた質問では、約7割が「とてもよい」「よい」と肯定的な反応を示しており、否定的な意見は2.7%に留まるなど、取り組み自体への共感度は高い。

日常生活において「もっと配慮があれば使いやすくなるのに」と感じる経験については、全体の55.6%が「よくある」「たまにある」と回答している。これを自身や家族が障がい、高齢、介護に関わる「コア当事者」に限定すると62.7%に達し、一般層と比較して不便を感じる割合が15ポイント以上高くなっている。こうした日常的な不全感が、インクルーシブな視点を持つプロダクトへの潜在的な期待感に繋がっていることが推察される。

製品の購入意向に関する調査では、インクルーシブデザインの内容を知っている層のうち61.5%が、通常の製品より価格が高くても購入したいと回答した。この数値は「ユニバーサルデザイン」を知っている層の購入意向(39.9%)を20ポイント以上上回っている。特定のユーザーの課題を解決するプロセスを経て生まれた製品が、結果として多くの生活者にとっても付加価値の高いものとして受け入れられる可能性を示唆している。

企業に対して今後配慮を期待する分野は、全年代で「店舗・施設のバリアフリー化」が上位となった。年代別では、30〜40代において「商品・サービスの使いやすさ向上」や「商品パッケージの見やすさ・開けやすさ」など生活実務に直結する項目に加え、「価格の配慮」も重視されている。70代以上では「交通・移動手段の改善」への期待が突出しており、プロダクトやサービスのマネジメントにおいては、ターゲット年代の生活動線に応じた改善ポイントの優先順位付けが求められている。
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ProductZine編集部(プロダクトジンヘンシュウブ)
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