Relicは、デジタルインファクトと共同で実施した、新規事業開発におけるブティックコンサルティング市場に関する調査の結果を、2月4日に発表した。同調査は、日本国内に限定的に存在するブティックコンサルティング企業10社に対して、2024年7月〜10月の期間に行われている。

同調査によれば、技術革新や消費者ニーズの多様化、既存事業における市場のシュリンクなどを背景に、企業では新たなサービスやビジネスを提供することが求められており、新規事業開発への投資意欲が高まりつつある。また、新型コロナ禍に起因するビジネス環境の大きな変化によって、企業の新規事業開発への意欲が押し上げられ、政府や自治体も補助金・助成金を通じて企業の新規事業開発を支援している。
新規事業開発にはM&Aやジョイントベンチャーの設立といったさまざまな選択が取られる一方で、新規事業開発に特化した社内の人材育成や組織開発の観点から、コンサルティング企業などの第三者への依頼も増える傾向にある。これらの新規事業開発への投資は、大企業を中心として推進されてきたものの、近年は経営環境の変化や政府・自治体の支援によって、中小企業においても新規事業開発への投資が推進されるようになってきた。
そのため、サービス提供を行うコンサルティング企業でも、特定領域・専門領域に特化した多彩なプレイヤーである「ブティックコンサルティング企業」が市場へ積極的に参入し、短期間・低単価によるサービス提供も増加している。
一方で、社内で生まれた新規事業は実証実験などを通じて早期に事業化を進めていくことが求められるものの、とりわけ大企業ではコーポレートガバナンス(企業統治)に基づいた厳格なプロセスを通すことが新規事業開発の壁になるとともに、事業化を進めることで既存事業ではなかったレピュテーションリスクなどの新たな課題も生じつつある。
そういった課題を解決すべく、コンサルティング会社が顧客企業と協働して新規事業開発およびサービスリリースの主体者となった上で、ビジネスを拡大させていく「共同開発モデル」の需要が大企業を中心に高まってきている。この共同開発モデルは、企業におけるカーブアウトや出向起業制度への理解が進んだこともあり、選択肢の1つとして注目されるようになってきた。
同モデルは、新規事業開発に壁がある大企業を中心に利用されているが、コンサルティング会社と1つの会社・チームとなった事業開発やその支援を受けることが可能となるため、人材や組織の成長や育成にも大きく寄与する。
こういった背景から、2024年の新規事業開発におけるブティックコンサルティング市場規模は、前年と比較して約1.2倍の149億円と推測される。うち、「共同開発モデル」の割合は約20%を占めている。また、今後も新規事業開発への啓発やノウハウの普及が進むことによって、長期的な視点での投資意欲が高まり、事業の収益化段階(アーリーステージ)でのさらなる投資も進むことで、市場がさらに拡大していくことが期待される。
共同開発モデルも、カーブアウトと合わせて既存の企業とは別の企業体やチームで新規事業開発を進めていく機運が高まっていくことから、継続的な市場成長が見込まれる。
これらの結果を受けてRelicは、2029年の新規事業開発におけるブティックコンサルティング市場は、2024年と比較して約2.4倍の363億円に達すると予測している。
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ProductZine編集部(プロダクトジンヘンシュウブ)
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