はじめに
Lancers LLM Labs(以下LLMラボ)の入江です。私たちは生成AIを使って社内外向けに新規のプロダクト開発を行うべく立ち上がったラボです。今回はラボより、はじめての新規プロダクト「Autoron(オートロン)」をリリースしましたので、その題材をもとに新規事業でプロダクトをリリースするまでの経緯をリアルな事例とともに解説します。
今回開発した「Autoron(オートロン)」について
「Autoron(オートロン)」は、誰でも簡単にオリジナルの業務AIアシスタントが作成できるサービスです。プロンプトの知識などを必要とせず、誰もがAIを活用できる環境をつくれたらと考え開発をスタートしました。
「Autoron(オートロン)」の特徴
- 独自の設定・ドキュメントを読み込ませて、オリジナルのAIアシスタントを作成可能
- 作成したAIアシスタントはチームでの共有が可能
- バナーやプレスリリースなどの画像・長文生成もAIアシストで簡単に作成可能
- 企業、個人問わず月額1000円から利用可能(トライアルあり)
今回は、この「Autoron(以下、オートロン)」をリリースするまでの流れについてお話します。
どんなプロダクトをつくるのか
新規事業でまず考えるべきこと、それは当然「どんなプロダクトをつくるのか」です。
強みを考慮する
まずは自社の強みを考えていきましょう。他社がまねできないものであればあるほど有利になるからです。小さな会社で優位性がないと思う場合もあるかもしれませんが、例えば小さな会社だからこそ規模が小さなニッチ市場に取り組める、ということも強みになります。
弊社で考えてみると、LLMラボの強みはランサーズというフリーランスと企業をつなぐプラットフォームを持っていることです。
まずはじめに、自社のリソースの優位性を考えることからはじめてみましょう。
世の中を考慮する
プロダクトを出すタイミングも重要です。世の中に求められているタイミングでなければ必要とされません。自社の優位性だけでプロダクトをつくっていても、世間とフィットしなければ求められるものはできないでしょう。
LLMラボで何をつくるかを考えたとき、「世間の状況として生成AIの認知は高まっており一度使ってみた人も多いが、仕事で実践的に利用している人は少ない状況にある」ということがさまざまな調査レポートや実際の声から分かりました。
去年の8月時点でGMOリサーチの調査をみても、業務での利用率は10%程度となっています。そのほかのリサーチをみても、おおむね多くても国内では3割程度のようでした。
この感覚は自分の肌感覚としてもあっており、まわりを見渡しても本格的に活用している人たちはごくわずかだと感じていました。
しかし、自分自身もラボのチームメンバーも生成AIを普段の業務で活用しており、生産性も高めることに成功しています。なくなってしまうと困るレベルです。この恩恵をみんなが受けられないのはもったいないと思います。
そんなところから、「自分たちがプロダクトとしてつくれば生成AIを活用し、誰もが生産性を高められるようになるのでは?」と、これが社会的な課題であるという仮説をたてました。
強みと掛け合わせる
次にこの課題を解決するために「強み」をかけ合わせるとどうなるかを考えます。
ランサーズはたくさんのフリーランス、そして仕事の現場に近いところでサービスを提供しており、これは仕事の生産性を上げるプロダクトであるオートロンとも相性がとても良いです。
オートロンをダイレクトに紹介できる環境がある、そして活用してもらうことで仕事がスムーズになり、より価値が高い仕事ができるという、いい循環が生まれます。そうすればランサーズ自体の存在価値も上がるという相乗効果が見込めます。