はじめに──アウトカム最大化のための「意思決定」
ファインディが運営するプロダクトマネージャー向けコミュニティ「PM Hub」では、実践知の共有を目的にLT(ライトニングトーク)と懇親会を組み合わせたイベント「PM LT Night」を定期開催しています。
プロダクトづくりにおいて、限られた時間とリソースの中で最大の成果=アウトカムを出すためには、どの施策をいつ実行すべきかという「意思決定」が極めて重要となります。2024年12月12日に開催された「PM LT Night」では、4名の登壇者がそれぞれの現場で試行錯誤してきた意思決定のプロセスと、その工夫や悩みを共有しました。
編注
記事中の各位の所属および役職は、イベント開催時点(2024年12月12日)のものです。
LT1:「なぜ施策優先度を意思決定しなければならないのか?」
最初に登壇したのは、FinTech企業でプロダクトマネージャーを務める北原幹也氏です。プロダクトの成果であるアウトカムに向き合う中で、なぜ施策の優先順位を明確にしなければならないのかを、自身の経験をもとに紹介しました。
アウトカムは「狙って出す」ものではなく、「学びの結果として得る」もの
北原氏が主張するのは、アウトプット(成果物)とアウトカム(成果)を明確に分けて捉えるべきという点です。アウトプットは「作ったもの」、アウトカムは「顧客やビジネスにとっての変化」であり、後者はアウトプットの結果であり、コントロールが難しいものです。
だからこそ、MVP(最小実用製品)を複数出してすばやく検証を回す心構えが不可欠で、成功する施策は結果論であり、「当たる施策」を事前に見極めるのは難しいものです。
むしろ重要なのは、「どれを試すか」を決める意思決定プロセスそのものとなります。

優先度を決める3ステップ
北原氏が紹介したのは、以下のような意思決定プロセスです。
- 材料収集:施策の背景や目的、不確実性をテンプレートで整理する
- 評価:重要度・緊急度などの2軸でマトリクス評価する
- 可視化:バックログやスプレッドシートで管理し、チームで定期的に振り返る
施策の「良しあし」ではなく、「今やるべきかどうか」に焦点を当てるこの判断軸は、チームの思考と行動を一貫させるために有効だと主張します。

総括
北原氏のセッションは、アウトカムを生み出すための本質的な問いを投げかける内容でした。特に印象的だったのは「完璧な施策など存在しない。だからこそ、まずやってみる判断を下せるかどうかがプロダクトマネージャーの価値」という言葉です。手元の選択肢を「試せる形」に落とし込むフレームと文化こそが、成果につながる第一歩であると再認識させられました。