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Mixpanel, Incからのプロダクトティップス

「ノーススター指標」だけでは不十分? 現場の行動とKGIをつなぐ「メトリックツリー」完全ガイド

Mixpanel, Incからのプロダクトティップス 第32回


 多くのプロダクトチームが導入している「ノーススター指標(NSM)」。チームの指針として有効な一方、それ単体では現場のアクションとのつながりが見えにくく、意思決定のブラックボックス化や部門間の対立を招くこともあります。本記事では、この課題を解決するフレームワーク「メトリックツリー」を解説。ビジネス目標(KGI)と日々の現場指標をロジカルに接続し、データドリブンな意思決定と組織の連携を促すための「構築ガイド」と「4つのメリット」を紹介します。(編集部)

編注

 原文:「Metric trees 101: A practical guide, the benefits, and process of building your tree」。翻訳にあたり若干加筆修正を行っています。

ノーススター指標の“ブラックボックス化”を防ぐ

 今日では大量のデータが入手できますが、多くの企業ではまだまだデータ分析の基本あるいは記述的な分析に留まっています。これでは、売上の増加を報告できても、その理由を説明できません。そして、もっと重要かつ意義のあるインパクトのためには次に何をしたらよいか、という問いにも答えられません。このギャップこそが、単一的なノーススター指標の限界を明らかにしています。

 ノーススター指標はデジタルプロダクトを提供する企業にとって必要不可欠で、チームが一つの目標に向かえるようサポートします。しかし、それだけに集中しすぎると ブラックボックス化してしまうことがあります。ノーススターは進むべき方向を示してくれますが、それを支える具体的で相互に関連した要素までは示さないため、行動の明確さが不足したり、部門ごとに意思決定がバラバラになってしまったりという課題につながります。

データはさらに構造化することが重要

 この問題の解決策は、データ量を増やすことではなく、構造化されたアプローチを取ることです。インタラクティブなマップであるメトリックツリー(いわゆるKPIツリー)を使えば、日々のチーム行動とハイレベルなビジネス目標を直接結びつける、全社共通の包括的で連携の取れた計画を作成できます。

 これらの重要なインサイトは、「Beyond the North Star: Turning Data into Impact with Metric Trees」(「北極星の向こう:メトリックツリーでデータをインパクトに変える」)をテーマにしたオンデマンドウェビナーシリーズから得られたものです。このシリーズでは、この取り組みを実践してきた業界リーダーたちが登壇し、データを真のビジネスインパクトに変える実践的なガイドを提供しているので、ぜひ参考にご覧ください。

登壇者

  • InsightsDrivenPM 創設者/Bizzy CEO コリーナ・ストゥカン氏  
  • Zola データ&アナリティクス担当シニアディレクター カール・トゥム氏  
  • エグゼクティブデータアドバイザー/Tim Wiegels Data Solution 創設者 ティム・ウィーゲルス博士  

指標が一つだけしかないという危険性

 ハイレベルな指標を一つのみ設定することは誤解を招きやすく、根本的な問題が隠れてしまったり、重大な組織的問題を引き起こしたりする可能性があります。連携の取れたフレームワークがないと、チームはバラバラな状態で作業を進め、広範囲な目線でビジネス上の背景を考慮することなく、個々の指標を最適化してしまいます。これは、さらなる問題を連鎖的に招く恐れもあります。

組織内バラバラ現象

 組織内バラバラ現象(足並みの乱れ)は、マーケティングチームとプロダクトチームなど、異なるチームで相反する目標を追求してしまった場合に発生するものです。

 例えば、マーケティングチームが新規ユーザー数の増加を目標とする一方で、プロダクトチームが特定の既存ユーザーのリテンション(維持)を重視するといった状況が考えられます。これは逆効果の結果を招く可能性があります。コリーナ・ストゥカン氏が経験したように、「100ドルの新規登録ボーナス」を提供するマーケティングキャンペーンで、プロダクト自体に興味のない新規ユーザーの獲得に成功しました。結果、マーケティングチームとプロダクトチーム双方でパフォーマンスを低下させることになったのです。

全体的視点の欠如

 各チームメンバーが、日々の業務が全体的なビジネス目標とどう結びつくかを理解していないと、「ブラックボックスのパラドックス」に陥ることがあります。狭義の指標上では成功しているように見える行動が、より広義な企業目標を損なう現象です。

 例えば、ティム・ウィーゲルス博士は、FreeNowに在籍していた当時、配車予約のコンバージョン率向上を目指していたプロダクトチームが、2ユーロのクーポンを導入した事例を紹介しています。これにより指標は急上昇したものの、1回あたり通常1.50~2.50ユーロであった利益が完全に消滅してしまいました。

説明責任の欠如

 各チームメンバーが、自分の行動が広義なビジネス成果にどう影響するかを理解していないと、説明責任があいまいになりがちです。各メンバーは、自分の行動による結果から切り離された感覚を抱くようになり、最終的にはチーム全体のモチベーションの低下や集中力の低下を招きます。

戦略的な青写真としてのメトリックツリーで解決

 日常業務とハイレベルなビジネス目標のギャップを埋めるための解決策として、先進企業が採用する最も効果的な方法がメトリックツリーです。

 メトリックツリーはビジネス目標を階層的に分解した戦略的設計図で、組織のデータ活用方法を根本から再構築するものです。戦略的優先事項と日々のチーム活動を結びつけます。複数の指標が相互に関連した視点を提供し、単一のノーススター指標が抱えるブラックボックス問題を克服できるようにします。このフレームワークにより、「何が起きたか」だけでなく、チームは自らの仕事が最終的なビジネス成果に具体的にどう影響するかを理解できるようになります。

 メトリックツリーは単純な可視化ではありません。組織が問題を診断し、業務を優先順位付けして、協働する方法を変革する最強の動的ツールです。

 以下はMixpanelで構築した例です。

メトリックツリーの4つの利点

1.原因を究明する

 メトリックツリーは、変化の根本原因を特定するための「5 Whys」(なぜなぜ)分析を視覚的に行う手法です。その枝分かれを追うことで、チームは問題の正確な発生源を迅速に特定し、具体的かつ実行可能な対策に集中できます。事後対応的な問題解決から脱却し、データに裏付けされた根本原因分析へとシフトできます。

2.ノイズとシグナルの切り分け

 メトリックツリーは、見せかけの指標と実行可能な指標を区別するフレームワークを提供します。例えば、表層的な分析では、ユーザー数は多いがコンバージョン率が低いというファネルが望ましく見えるかもしれません。けれども、ユーザー数は少ないものの高コンバージョン率でライフタイムバリューが2倍のファネルがあるとしたらどうでしょう? メトリックツリーは真の価値に焦点を当てた経路を示すので、この優先順位付けが明らかになります。

3.データに基づく優先順位付け

 メトリックツリーは指標間の定量的関係も示すので、チームがロードマップに優先順位を付けるための規範的ツールともなります。ツリーには下位レベルの指標がノーススター指標とどう関連するかを示す相関機能があるので、チームが取り組みを定量的に優先順位付けできるようになり、実際には成果を生まない指標に時間を浪費してしまうことを防ぎます。

4.連携と責任感の促進

 メトリックツリーは異なる部門間で成功の共通認識を育むので、部門間の壁を打破する強力な手段となります。連携するための共通言語と視覚的なマップを構築できるので、各チームは、自分たちの行動が広範なビジネス成果にどう影響するかを理解でき、責任感とモチベーションの向上につながります。ツリー構築プロセスそのものが協働作業であり、定義上の意見の相違に向き合って解決することをチームに促すため、戦略を統一して、重要な基盤を築きます。

次のページ
メトリックツリー構築の実践ガイド

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この記事の著者

カービー・チュア(Mixpanel, Inc)(カービー・チュア)

Mixpanelのプリンシパル・カスタマーサクセス・アーキテクト。APAC地域を対象に、プロダクト分析を活用した持続的な成長支援を行う。Mixpanel 以前は、20年以上にわたりプロダクトおよびソリューション領域で経験を積み、複数のプロダクトマネジメント職を歴任してきた。現在は、さまざまな業界にお...

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