SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

ProductZine Day&オンラインセミナーは、プロダクト開発にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「ProductZine(プロダクトジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々のプロダクト開発のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

ProductZine Dayの第3回。オフラインとしては初開催です。

ProductZine Day 2024 Summer

ProductZine Day 2024 Summer

SaaSプロダクトの実例から学ぶプロダクトマネージャーとチームの理想的なあり方

SaaSスタートアップにおける「OKR」「North Star Metric(NSM)」の設定と運用

SaaSプロダクトの実例から学ぶプロダクトマネージャーとチームの理想的なあり方 第2回

2.プロダクトとしてのOKR設定とNSM

 モノグサには「無意識のバイアスを自覚する」という行動指針があり、主観に頼らず、データに基づいた意思決定(データドリブン)を重視する文化があります。この背景から、社内ではさまざまな指標を分析・活用する仕組みが定着しています。

 例えば、IT学習サービスとして重要な「学習回数」というデータを社内外に開示しており、PRや採用資料などにもこの指標を多用しています。

 一方で、「プロダクトとして追うべき最も重要な指標は何か」という点については、一昨年まで確信を持てていませんでした。そこで、プロダクトマネージャーチームがNSMを定義し、その指標を全社のOKRに反映させることで、全社員が職種を超えて共通の目標を追える仕組みを作ることを目指しました。この取り組みが事業成長と社内の意思統一を促進しています。

NSMとは?

 NSM(North Star Metric)を一言で表すと、「チームの目標と方向性、そして成功を計る尺度」です。北極星が方位を示すように、NSMは「会社(またはプロダクト)の現状を正確に把握」し、「短期的な成長を超えて長期的な観点の顧客成長を導き出すのに役立つ指標」です(出典:グロースマーケティングメディア)。

 NSMは中長期的な目標を具体化する指標であり、組織全体の行動を統一するための基盤として機能します。

モノグサにおけるNSMの定義とOKR設定

 NSMを決める過程や詳細については自社ブログで解説していますが、モノグサでは最終的に、プロダクトの中長期的な価値を象徴する指標として「記憶量」をNSMに設定しました。「記憶量」とは、ユーザーがモノグサプロダクトを通じて記憶した内容をデータとして数値化したものです。

 この「記憶量」を全社OKRの中心に据え、以下のような仕組みを構築しました。

1.全社OKRとしての設定

 「記憶量の向上」を全社OKRのKeyResult(主要な結果)に設定しました。

2.職種ごとの具体的な目標と連携(例)

 職種ごとの組織において、以下のような具体的な目標を定め、OKRと連携するようにしました。

  • 営業(Sales):利用者数の増加を通じて記憶量の向上に貢献。
  • カスタマーサクセス(CS):顧客の活用度や運用頻度を高めることで記憶量を向上。
  • プロダクト開発:より効率的で効果的な学習体験を提供するための改善を実施。

3.OKRの階層構造

 全社OKRを頂点とし、各チームや個人のOKRを細分化して設定。全社OKRと連動する目標を各階層で明確化することで、最終的にNSMである「記憶量」の向上につなげています。

取り組みの成果と課題

 NSMを全社OKRに組み込むことで、事業成長とプロダクトの向上を目指す明確な方向性が可視化されました。また、社員全員が共通の目標に向かう一体感が生まれ、本質的な改善サイクルを実現できています。

 もちろん、運用には試行錯誤が伴い、すべてが順風満帆というわけではありません。しかし、プロダクト開発と同様に、OKRの運用についても日々改善を繰り返すことで、より良い形に進化させることを目指しています。

 North Star Metricとそれを分解した構成要素。その要素を向上させる施策もまとめました。

次のページ
3.プロダクトマネージャーチームとしてのOKR設定

この記事は参考になりましたか?

SaaSプロダクトの実例から学ぶプロダクトマネージャーとチームの理想的なあり方連載記事一覧
この記事の著者

大野 益久(モノグサ株式会社)(オオノ ヨシヒサ)

モノグサ株式会社 VPoP。 早稲田大学法学部卒業後、日本ユニシス株式会社(現BIPROGY株式会社)にてシステムエンジニアやプリセールス、新規サービス企画などを担当。その後 楽天グループ株式会社にて多数サービスのプロダクトマネジメントを担当、シニアプロダクトマネージャーを経て2023年にモノ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

ProductZine(プロダクトジン)
https://productzine.jp/article/detail/3186 2025/01/31 11:00

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

ProductZine Day&オンラインセミナーは、プロダクト開発にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「ProductZine(プロダクトジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々のプロダクト開発のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング