はじめに
デジタル企業の顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)の改善は企業の成長と密接につながっています。本稿では、成功しているデジタル企業はMixpanelを使って、どのように効果的なデータ分析をしているかについて、8社の事例を見ながら解説します。
Mixpanelのコアバリューは、創業当初から変わらずデジタルプロダクトとそれを支える企業の「成長」を解き放つことです。当社はお客さまにパワフルで使いやすい行動分析機能を提供することで、次のような目標達成ができるようサポートし続けています。
- 新規ユーザー取得による成長:プロダクトの新規ユーザーとしてサインアップしてくる見込み客数を増やす
- 既存ユーザーのエンゲージメントの向上:定期的にプロダクトを利用し、その価値を認めるユーザーの数を増やす
従来、こうした分析ユースケースの多くは純粋にプロダクトチームだけに必要とされていましたが、昨今この成長という目標は、プロダクト、エンジニアリング、設計、マーケティングはもちろん、さらに他の部門にとって共通のプライオリティとなっています。Mixpanelでは、クロスファンクショナル(部門を超えた)なプロダクト主導型の成長(PLG)の中でデータとセルフサービス分析を使うことで、お客さまがプロダクトを発見し、試してみてからその価値を実感し、成功をつかむまでのカスタマージャーニー全体の理解を深めています。
この記事では、当社のお客さま8社の事例にスポットライトを当て、各社がどのようにデータ分析を活用し、いろいろなビジネスチャレンジを克服して、成長を促進してきたかをご紹介していきます。
Yelp:プロダクトの意思決定をスピードアップ
米国発ローカルビジネスの口コミサイト「Yelp」のローカルビジネスチームの仕事は、非常に忙しいものでした。ユーザー行動の理解はもちろん常に最優先事項ですが、チームは改善すべき領域をもっと効率的に特定できる方法も必要としていました。
Yelpのプロダクトマネージャーは、すべてのプロダクト改善の提案にイベント分析を直接取り入れ、仮説を立て、最終的には実験やプロジェクトをローンチするようになりました。これにより、Yelpの全チームが今取り組んでいる特定の問い合わせや分析について最も関連性の高いユーザーアクションに焦点を絞れるようになりました。
Yelpはデータ分析を簡単かつセルフサービスにしたことで、分析にかかっていた時間を、数週間から数日までに短縮し、重要な機能のアイデア出しからローンチまでの時間を削減しました。
「弊社チームは、お客さまや広告主のため、情報に基づいたプロダクトの意思決定ができるようになりました」
──Sid Arora氏(データプロダクツ、アナリティクス、実験担当リーダー @Yelp)
Immobiliare:プロダクト、エンジニアリング、デザインチームの垣根を越えてデータアクセスを民主化
イタリアの不動産情報サイト「Immobiliare」の不動産アプリが成熟していく中で、同社のチームはスリムな体制を維持していました。しかし、プロダクト開発の領域が急激に増えるたびに、意思決定を支えるデータ分析の手作業が追いつかなくなってきていました。この問題を解決するためには、社内に「データに基づく意思決定」の文化を導入しないといけないと認識するようになりました。データに基づく意思決定の文化は、データへのアクセスと分析をセルフサービス化することが重要です。現状を打破すべく、ImmobiliareはMixpanelを導入しました。
セルフサービス型のイベント分析により、Immobiliareのプロダクト、エンジニアリング、デザインチームは、各自が自分自身でデータにアクセスして分析を迅速に行えるようになり、プロダクトの改善と新機能ロードマップに役立てられるようになりました。その結果、掲載される不動産物件数が40%増加、モバイルアプリトラフィックが26%増、コンバージョンが5万ユーザーに達しました。
「当社のチームは統一されたデータソースを持ち、互いに理解し、何をするべきかを明確に見極められています。特に“何をすべきでないか”が明確となります」
──Paolo Sabatinelli氏(チーフプロダクトオフィサー@Immobiliare)