はじめに
第1回に引き続き、モノグサVPoPの大野から寄稿させていただきます。改めてになりますが、EdTechスタートアップとして私たちの会社では「記憶の定着」に特化したSaaS型学習サービス「Monoxer」を展開しています。このサービスは、学校、塾、企業をはじめとする多くの現場で活用され、記憶定着の支援とその可視化を通じて、学業成績の向上、資格取得、企業研修の効率化をサポートしています。
また、昨年にリリースした幼児向け学習アプリ「Monoxer Junior」は、2025 CES Innovation Awardを受賞するなど、新規toCサービスの展開も進めています。
前回の記事では、スタートアップにおけるプロダクトマネージャーチームの立ち上げについてご紹介しました。今回は、そのチームがどのようにOKRやNorth Star Metric(ノーススターメトリック、以降NSM)を設定し、運営に活かしているか、そのポイントを詳しく解説します。この記事が、プロダクトマネージャーチームの構築や成長を目指す方々にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。
1.全社におけるOKR運用
OKRとは?
OKR(Objectives and Key Results)は、目標と結果を可視化・分解し、メンバーと組織が同じ方向を向いて取り組むための目標管理手法です。
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O:Objectives(達成目標)
- 目指すべき方向性やゴールを示します。
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KR:Key Results(主要な結果)
- Objectiveを達成するために必要な具体的な成果を測定する指標です。
OKRは全社目標を基点にしながら、必要に応じて部門や個人レベルで目標を設定し、全社で同じ課題に取り組む基盤を提供します。この仕組みの特徴は、個人と企業の目標をリンクさせ、目標設定・進捗確認を高頻度で行う点です(詳しくはHRBrainメディアの記事などを参照してください)。
モノグサでのOKR運用
私たちの会社では、創業当初からOKRを導入し、現在まで継続して運用しています。社員10名以下の頃から始めたこの取り組みは、現在社員数が150名を超える規模においても、組織全体の一体感を維持する基盤となっています。以下が具体的な運用ルールです。
階層的な設定
四半期ごとに以下のようなツリー構造でOKRを設定しています。
- 全社OKR
- 部門ごとのOKR
- チームごとのOKR
- 個々人のOKR
進捗の可視化と頻繁な確認
以下を通じて、各階層での目標と進捗を確認しています。
- 隔週の全社ミーティング(経営陣がKR項目1つずつの進捗を全社員に向けて報告)
- 毎週のチームミーティング
- 個人レベルではマネージャーとの1on1
筆者個人としては目標設定が形骸化してしまうありがちなケースとして、例えば「期初に目標を設定したものの、振り返り時期まで忘れられている」という状況などをよく耳にします。しかし、モノグサでは各階層での定期的な確認を通じて、企業、チーム、個人が共通の目的を持ち、一丸となって邁進してきました。その結果として高い成長の実現に寄与していると思います。
透明性の確保
すべてのOKRは社内で公開されています。他部門の目標や進捗状況を確認することで、連携や相乗効果を生む目標設定が可能になります。
一般的にOKRの透明性は、組織全体で目標を共有し、連携を促進する強力なツールと言われていますが、透明性が過剰なプレッシャーを生まないよう、目標設定の妥当性や進捗確認の仕組みを慎重に設計することが重要だと思います。
プロダクト観点でのOKR設定とは?
創業以来、全社でOKRを運用してきた私たちですが、特にプロダクトに関わるOKRの設定は重要です。具体的には、「どの階層で」「どのような達成目標(Objective)」や「結果指標(Key Results)」を設定すべきかが問われます。次章では、プロダクト観点でのOKR設定の具体的な手法について掘り下げていきます。