文化の異なる組織の共創には「メタ視点とパッション」が不可欠
これらのエピソードを振り返り、木下氏は「大企業である明治と、ベンチャーであるWellnizeで文化が合わない部分はたくさんあったが、結果としてインナーガーデンは『強みの掛け算』にできた」と胸を張り、「明治の圧倒的なブランド力、信頼感は得難いもの。資金調達も含め、ベンチャーならどれだけ時間がかかったかと思う。その一方で、Wellnizeが“内なる外”として存在したからこそ、プロダクトマネジメントを取り入れ、短期間で新規事業を立ち上げられた」と分析した。そして、改めて「内なる外としての腸管が免疫に攻撃されずに共生ができることと同じ」と語った。
さまざまな問題を乗り越えて、なんとかサービスをローンチできたことについて、「①圧倒的当事者としての課題解決」「②衝突を恐れずにコトにフォーカスするプロフェッショナリズム」「③パートナーとして背中を預けられる信頼関係の構築」のおかげと評した。特に「メタ(俯瞰的な)視点とパッションの重要性」を強調している。

例えば、こちらから見て一見不合理なプロセスも、単に「ダメ」と片付けるのではなく、なぜそうなるのかの仕組みを深く考えることが重要だと言う。人の行動はインセンティブに基づいており、相手の立場や合理性を理解することで、問題の本質を見極められる。そうしたメタ視点によって課題の構造を把握し、適切な解決策を導き出せるというわけだ。そして、次々と問題や困難に直面した際に「この会社には合わない」「実現は難しい」といった諦めのロジックではなく、成功するまで挑戦し続ける情熱的な姿勢こそが、最終的な成果につながる。
木下氏は、「メタ視点とパッションがあったからこそ、カルチャーの違いを乗り越え、共に新しい価値を創り出せた。この経験は今後の事業展開でも重要な指針となるはず」と力強く語り、セッションを終えた。