LT2:ユーザーは本当に「AI」を求めている? toCプロダクトにおける生成AI体験づくり事例
株式会社スマートバンクでプロダクトマネージャーを務める稲垣慶典氏は、toCプロダクトにおいて生成AIを活用するコツを具体的な事例とともに紹介しました。
生成AIを活用する上で、ユーザーが「使いこなせる体験」を追求する
家計改善を支援する次世代型のプロダクトを構想するにあたって、当初は「AIっぽい体験」の代表格であったチャットUIの体験を模索し、LINEボットを使った模擬検証を行っていたといいます。しかし、やりとりの多さや能動的な質問ベースの体験にストレスを感じる声も多く、「読まなくていい・考えなくていい・操作しなくていい」シンプルな体験を追求することが必要だと実感するようになりました。
また、稲垣氏は、生成AIが期待される一方で、過剰な「万能感」が裏目に出ることを懸念しました。toCプロダクトにおいてAIに対する期待値を適切にマネジメントする必要性を指摘し、年末に実施したキャンペーンの事例を通じてその工夫を紹介しました。

生成AI活用するなら、あえて「枯れた価値」に
「AIっぽさ」に翻弄されず、本当に価値のある機能を生み出すために「生成AIの活用は『枯れた価値』から始めるべき」と語ります。例としてレシート読み取り機能に生成AIを活用した事例を取り上げながら、昔からあってすでにニーズが証明されているが、使い勝手が悪いものに生成AIを組み合わせることで、ニーズもあって新しい生成AI体験を生み出すことができると言います。

総括
生成AIを使うこと自体が目的になってしまうと、本来届けるべき体験の本質を見失います。稲垣氏の発表は、ユーザーが本当に使いたくなる体験を優先する姿勢の重要性を伝える内容でした。