LT3:ユーザー体験の再定義 〜行動変容のための生成AI活用〜
ファインディ株式会社でプロダクトマネージャーを務める小島は、可視化だけで終わらせないUXの工夫と、行動変容を促すための具体的なアプローチを語りました。
可視化されたデータが「使われない」という課題
経営と開発現場をつなぐ戦略支援SaaSであるFindy Team+では、GitHubやJiraのデータをもとにメトリクスを可視化する機能を提供しています。しかし、可視化されたデータが意思決定やその後のアクションに活用されないという課題に直面しました。「数字は見たが行動に移せない」という状態が続いたことで、小島は価値の定義を「行動変容」に置き換える必要があると考えるようになりました。
そこで、生成AIが課題となる指標と改善のためのアクションを提示してくれる「オンボーディングレポートβ」機能をリリースしました。

行動変容の納得感を支える「理由づけ」と「文脈」
AIの提案に納得感を持ってもらうために、小島は「Whyを示す体験」を重視しました。指標の背景にある公開できる範囲の計算根拠をユーザーに伝えたり、過去/他社データとの比較といった「文脈」を併記したりするなど、オンボーディングレポート機能では、ユーザーの行動変容を後押しする工夫をしています。

総括
プロダクトの真の価値は、ユーザーが行動を変えられるかどうかにあります。小島の発表は、AIを起点としながらも、ユーザーの意思決定を促す「寄り添う体験設計」の重要性を強く印象づけるものでした。
おわりに──体験設計の解像度が、生成AIプロダクトの未来をつくる
今回のPM LT Nightを通じて見えてきたのは、「生成AIをどう使うか」ではなく、「生成AIとどう共創するか」が問われる時代になったということです。各登壇者の取り組みには、機能や精度だけでは測れない「人の感情や行動の変化」を丁寧に設計する姿勢が共通していました。
プロダクトマネージャーは、技術の担い手であると同時に、体験の設計者でもあります。透明に失敗を共有し、小さく素早く学ぶサイクルを回すこと。それが、生成AIと共に進化するプロダクトの未来を切り拓く鍵になるはずです。