【ラウンドテーブル】「成果が出ない壁」をどう乗り越えるか
イベント後半のラウンドテーブルでは、参加者がいくつかのグループに分かれ、日頃の業務における課題について多角的なディスカッションが行われた。本記事ではその中から、「分析して施策を打っても、成果に繋がらない壁」をテーマにしたグループの議論の一部を紹介する。
「トライアンドエラーを繰り返しているものの、最終コンバージョンは上がっても他部署から『本当にその施策のおかげなのか?』と疑問視されることがある」という参加者の悩みに対し、LIFULLの水野氏は「ABテストの勝率は、そもそも3割あれば良い方です。10回やって7回は負けるのが普通。残りのハズレは次に当てるためのホップ・ステップ・ジャンプだと捉えています」と回答した。また、施策の確からしさ(説得力)を担保する手法として、LIFULLでは「Experiment Design Doc(EDD)」の考え方を取り入れているという。
動かしたい先行指標である「ゴールメトリクス」と、決して下げてはいけない最終コンバージョンなどの「ガードレールメトリクス」をセットで設定する。「手前の行動(ゴール)が上がっており、かつ最終コンバージョン(ガードレール)が下がっていないという事実をもって、本番環境へ実装する判断を下しています」と水野氏は語り、多面的にデータを評価するアプローチの重要性を示した。
AI時代のプロダクト開発と、本質的な問い
セッションの最後に、今後のプロダクト開発の展望について両社のプロダクトマネージャーから力強いメッセージが発信された。
LIFULLの井上氏は「PDCAサイクルをAIで高速に回し、『1人1日1施策』を実現する世界観を目指しています」と語る。同社の梁取氏も「AIエージェントに『こういう分析をしたい』と指示するだけで、シニアクラスのアナリストが隣にいるかのように結果を出してくれます」と手応えを口にした。
グロービスの白濱氏もまた、「新機能を活用して分析のハードルを下げ、エンジニアの手をわずらわせずにビジネスサイドがさらに使いこなせる環境を整備していきたい」と展望を語った。
ツールやAIの進化により、分析のハードルは劇的に下がり、施策を実行するスピードはかつてないほど向上している。だからこそ、プロダクトマネージャーの役割は単なるデータ抽出や作業から、より高度な意思決定へとシフトしていく。
「作りやすくなった分、『何を世に出すか』という問いがより重要になってきています。手段が多様化する中でこそ、データの力を使って本質的な価値の創出に集中していきたいです」
LIFULL水野氏のこの言葉は、これからの時代を牽引するすべてのプロダクトマネージャーに対する、力強いエールと言えるだろう。
