Braze(ブレイズ)は、今年で4回目となるカスタマーエンゲージメントレビューの日本語版を、5月8日に公開した。あわせて、世界と比較して日本市場においてとりわけ特徴的であった点について考察している。
同レビューによれば、マーケティング担当者は創造的で戦略的な動きを望む一方で、それを妨げる以下の4つの要因に悩まされていることがわかった。
- KPIの重視で創造力が妨げられる
- 日常業務に時間を浪費している
- アイデアを具現化する技術力が不足している
- 創造力はROI測定しにくい
こういった課題を解決する手段としては、AI活用がトレンドとなっており、回答者の99%がすでにAIを活用している。また、79%が「AIは定型業務を自動化し、クリエイティブな思考に、より多くの時間を割くことができる」と回答した。生成AIの利用シーンは、おもに以下の通り。
- 創造的なアイデアを生み出す
- 反復作業を自動化
- リアルタイムで戦略を最適化
- データ分析の強化
- 予測分析を強化
- キャンペーンのパーソナライズ
あわせて、新しいテクノロジーは顧客エンゲージメントの機会を広げるものの、多くのブランドは顧客理解の解像度が依然として低い状況にある。一方で、改善の兆しもみられた。
正しいデータを元に顧客エンゲージメントに関わる組織、チーム、メンバーが、共同作業やミーティングを頻繁かつ集中的に行うとともに、計画や企画、その裏にある背景や想いといったものも共有して活動を同期させることによって、高度な顧客エンゲージメント戦略を推進できることが明らかになっている。
回答者がもっとも触れているメッセージチャネルは、Eメールのような古典的なものではなくメッセージアプリであり、WhatsApp、LINE、KakaoTalkなどが47%を占めた。一方で、増え続けるこれらのチャネルに対応して、一貫性を最優先事項としてリソース投資しているという回答は、37%に留まっている。
より創造的で戦略的なアプローチを実行する上で、障害になるものを尋ねた質問に対する、世界と日本の回答を比較すると、「アイデアを具現化するための技術力」(世界平均比+6%)、「KPI重視で創造力が阻害される」(世界平均比+4%)、「リソースがない」(世界平均+3%)という回答が日本では多かった。
クリエイティブな時間創造のために、AIによる定型業務の自動化を支持する割合は、世界の主要4地域と比較すると、日本は比較的低い結果(世界平均−19%)となっている。
どのマーケティング用途にAIを使用、または使用予定かに関してみると、日本ではキャンペーンメッセージのパーソナライズに興味を持つ割合が高かった(世界平均比+4%)。
顧客エンゲージメント戦略に適したものを尋ねた質問に対する回答は、世界では「マーケティングファネルの上流と下流を組み合わせマネタイズやロイヤリティを組み合わせた改善」が一般的な一方、日本では上流のメッセージ開封率やクリック率などに注目する傾向が強い(世界平均+16%)ことが明らかになっている。しかしながら、「上流と下流を組み合わせ、さらに顧客行動と顧客センチメントも意識したエンゲージメント戦略を取る」(世界平均+3%)といった回答も多くみられた。
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ProductZine編集部(プロダクトジンヘンシュウブ)
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