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ProductZine Day 2024 Summer

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「プロダクトマネージャーカンファレンス 2024」レポート

100人規模の組織でもスピードを失わない──ログラスが実践する「合議ではない」集合知型のチームづくり

「プロダクトマネージャーカンファレンス 2024」レポート

相互支援型のアプローチがもたらすプロダクト開発の未来

 斉藤氏は「集合知のチャンスはあらゆる場面に潜んでいます」と語った。情報を広く集めたり、知恵を借りたいと感じたりする場面は多く、特に戦略策定時には、イシューに全員で向き合い意見を出し合うことが重要だと考えている。一人や少数で結論を出し共有するのではなく、早い段階で集合知を活用することで、情報が集まりやすくなり、最終決定もスムーズに進む。

 誰かが一方的に決めた結果を「明日からこれをお願い」と伝えるよりも、「以前から相談していた内容が決まったので一緒に進めよう」と誘う方が、共感を得やすい。斉藤氏は、ログラスではこのように集合知をうまく活用できていると述べ、その成果をいくつか挙げた。

 まず、意思決定の根拠となる情報量が増えたことで、戦略の強度が向上し、大きな見落としに気づけた。また、意見が分散していること自体をメンバー間で認識できた点も大きい。さらに、自己決定感が得られることで納得度が高まり、考えるプロセスを共有する中で戦略への理解も深まった。こうした過程を経たことで、戦略を肌感覚で理解するメンバーから新しいアジェンダが生まれるという好循環も生まれている。

合議ではない集合知の取り組みによって、多くの良い成果を得られている
合議ではない集合知の取り組みによって、多くの良い成果を得られている

 この集合知の文化は、プロダクトチームだけでなくビジネス部門やカスタマーサクセス(CS)の分野にも適用している。特にCSは顧客に深く向き合う役割を担っており、そこで得られる知見は非常に貴重だという。プロダクトチームとしては、最後の意思決定は責任を持って行うが、最高の判断をするために集合知で助けてほしいと社内に伝えているという。

 斉藤氏は「自身も集合知をもらう側であると同時に、それを出す側としても積極的に協力する姿勢が必要だと思っています。こうした、お互いを許容し支え合う文化がフォロワーシップを伴った形でチームにインストールされつつあります」と話した。

 なお、合議で決めないというアプローチはリーダーシップそのもので、決断を下す際に周りの力を積極的に借りるべきだということを示している。リーダーシップの基本は、「周りが徹底的に意見を出し合う」「最終的な決定をリーダーに任せる」「決まったことに全力で従い実行する」ことだ。斉藤氏はこの3つが徹底されているスタートアップは本当に強いと感じているとし、最後に次のようにコメントした。

 「『合議で決めたいわけではないけれど、集合知で助けてほしい』という言葉は、ただ集合知があるだけではなく、助け合いや決断の方法を示す意味を持っています。このフレーズに含まれる『合議では決めない』という枕詞も含めて、非常に良い表現だと感じています。ぜひ皆さんも、この言葉をどこかの場面で思い出して使っていただければと思います」

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・...

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