2.プロダクトとしてのOKR設定とNSM
モノグサには「無意識のバイアスを自覚する」という行動指針があり、主観に頼らず、データに基づいた意思決定(データドリブン)を重視する文化があります。この背景から、社内ではさまざまな指標を分析・活用する仕組みが定着しています。
例えば、IT学習サービスとして重要な「学習回数」というデータを社内外に開示しており、PRや採用資料などにもこの指標を多用しています。
一方で、「プロダクトとして追うべき最も重要な指標は何か」という点については、一昨年まで確信を持てていませんでした。そこで、プロダクトマネージャーチームがNSMを定義し、その指標を全社のOKRに反映させることで、全社員が職種を超えて共通の目標を追える仕組みを作ることを目指しました。この取り組みが事業成長と社内の意思統一を促進しています。
NSMとは?
NSM(North Star Metric)を一言で表すと、「チームの目標と方向性、そして成功を計る尺度」です。北極星が方位を示すように、NSMは「会社(またはプロダクト)の現状を正確に把握」し、「短期的な成長を超えて長期的な観点の顧客成長を導き出すのに役立つ指標」です(出典:グロースマーケティングメディア)。
NSMは中長期的な目標を具体化する指標であり、組織全体の行動を統一するための基盤として機能します。
モノグサにおけるNSMの定義とOKR設定
NSMを決める過程や詳細については自社ブログで解説していますが、モノグサでは最終的に、プロダクトの中長期的な価値を象徴する指標として「記憶量」をNSMに設定しました。「記憶量」とは、ユーザーがモノグサプロダクトを通じて記憶した内容をデータとして数値化したものです。
この「記憶量」を全社OKRの中心に据え、以下のような仕組みを構築しました。
1.全社OKRとしての設定
「記憶量の向上」を全社OKRのKeyResult(主要な結果)に設定しました。
2.職種ごとの具体的な目標と連携(例)
職種ごとの組織において、以下のような具体的な目標を定め、OKRと連携するようにしました。
- 営業(Sales):利用者数の増加を通じて記憶量の向上に貢献。
- カスタマーサクセス(CS):顧客の活用度や運用頻度を高めることで記憶量を向上。
- プロダクト開発:より効率的で効果的な学習体験を提供するための改善を実施。
3.OKRの階層構造
全社OKRを頂点とし、各チームや個人のOKRを細分化して設定。全社OKRと連動する目標を各階層で明確化することで、最終的にNSMである「記憶量」の向上につなげています。
取り組みの成果と課題
NSMを全社OKRに組み込むことで、事業成長とプロダクトの向上を目指す明確な方向性が可視化されました。また、社員全員が共通の目標に向かう一体感が生まれ、本質的な改善サイクルを実現できています。
もちろん、運用には試行錯誤が伴い、すべてが順風満帆というわけではありません。しかし、プロダクト開発と同様に、OKRの運用についても日々改善を繰り返すことで、より良い形に進化させることを目指しています。
North Star Metricとそれを分解した構成要素。その要素を向上させる施策もまとめました。