現場への越境と変化を楽しむマインドセット
コンテキストを深く理解し、正しい意思決定を行うためには何が必要か。
中川氏からの「どのコンテキストが重要か」という問いに対し、白井氏は「業界のコンテキスト」を挙げる。特にBtoBのような閉じた業界では、表面的な統計データと実態が異なることが多いため、業界へのコミットメントと一次情報に触れ続ける姿勢が不可欠だという。
SmartHRの芹澤氏も、AIによって生み出された時間を使い、多角的な視点を得るためのアクションを推奨する。「空いた時間を使って会社や家から飛び出して、全く関係ない世界にどんどん飛び出していくことが結構重要ではないかと思います」と語り、IT業界のオフィス環境から離れ、製造業など多様な働き方をする人々の気持ちをどれだけ想像(エミュレート)できるかが極めて重要だと説く。また、「自分の職種が奪われる」と悲観する声に対し、「もともとそんなルーチンワークがやりたかったんでしたっけ」と問いかけ、AIという武器を手にしたことをポジティブに捉えるべきだと語った。
LegalOn Technologiesの角田氏もこれに同調し、コンテキストの理解と変化への適応について自身の見解を示す。「AI時代において重要なのは、職種名にとらわれず、変化する環境に適応し続ける力です。変化に対応するには、現場や新しい領域へ越境しながら学び続け、変化そのものを楽しむマインドセットが欠かせません」と同氏は語る。
さらに角田氏は、正しい意思決定を行うためには、表面的な知識にとどまらず、顧客や事業、技術といったコンテキストの深い理解が必要不可欠であると指摘。「体系的な知識や思考力を磨き続ける姿勢こそが、どんな環境変化の中でも価値を発揮できる人材につながる」と、AI時代に求められる普遍的な価値の源泉を強調した。
最後に中川氏は、「強い者が勝つのではなく、変化する者が生き延びるというダーウィンの進化論のような時代だよね」という社内での会話を振り返る。「CEOとしての私自身の役割の定義も、5年後、10年後には変わってくる中で、自分自身もやはり変化し続けなければいけないと本当に感じています」と語るように、職種を問わず、自らを進化させ続けることこそが、これからの時代における最大の生存戦略となるだろう。
