トドオナダは、「プロンプトエンジニア」および「プロンプトエンジニアリング」に関するWebニュースの分析を発表した。3000以上のWebメディアをモニタリングできるPR効果測定サービス「Qlipper」のデータに基づいた調査結果で、プロンプトエンジニア(リング)をめぐるWebニュースを特に記事数の変動に着目して調査し、報道増加の背景と要因を分析した。
同調査のサマリーは以下の通り。
- 記事数は3月半ばから急増し、2月から約7000%の増加
- 4月の記事数はさらに増え、1月の322倍に
- 3月半ば以降のプレスリリース急増が、記事数増加の主因
- 企業の動向は、社員のプロンプトエンジニアリング習熟支援から商品化への流れ
「プロンプトエンジニア(リング)」のWebニュース推移(「Qlipper」の収集記事)は以下の通り。
記事数は2月から3月に約7000%増、4月は1月の322倍に
- プレスリリースおよび「プロンプトエンジニア(リング)」を見出しに含む記事は、2月にゼロだが3月に急増。
- 3月のニュース数(記事とプレスリリース合計)は、2月の6975%増加。
- 4月の記事数は1600超で、これは1月の322倍。
3月半ば以降に記事数の増加が見て取れる。
「プロンプトエンジニア(リング)」関連記事の傾向と増加要因は以下の通り。
「プロンプトエンジニア(リング)」を含む最初期の記事
ニュースメディアではないものも含めて「Qlipper」が収集した「プロンプトエンジニア」「プロンプトエンジニアリング」のワードを含む最初の記事は1月13日の「Togetter」だった。東大で早くも「ChatGPT持ち込み可」の試験が出てきたという話題のまとめで、今後プロンプトエンジニアが多く生まれていきそうだという投稿を収載している。
ニュースメディアで確認できた最初の記事は、テクノロジー&スタートアップ関連のニュースサイト「BRIDGE」の1月21日付のもの。アメリカのテクノロジー関連ニュースサイトの記事を翻訳したもので、ChatGPTの間違った回答を識別するAIを開発した、Got It AI共同創設者のAmol Kelkar氏の言葉の中に「プロンプトエンジニアリング」の語が出てくる。
日本語で書かれた記事として最初に確認できるのは、1月27日付けの「マイナビニュース」の記事。ガラパゴスの代表取締役 中平健太氏がWebマーケティングにおける「Generative AI」の活用法を解説する記事で、Generative AIを使いこなすためにはプロンプトエンジニアリングのスキルを高めることが重要と指摘している。
プレスリリースが記事数増加の要因
上述のように「プロンプトエンジニア」「プロンプトエンジニアリング」のワードを含む記事は3月半ばから増えている。その大きな要因は、プレスリリースが数多く出るようになったことにある。3月半ば以降、土日以外はほぼ毎日何かしら「プロンプトエンジニア(リング)」の語を含むプレスリリースが出ていることが上のグラフに現れている。さらに、月替わりかつ新年度の4月に入ったタイミングでプレスリリースを配信する企業が増えた。
企業は社員のプロンプトエンジニアリング習熟支援から商品化へ
記事数に大きな影響を及ぼしたプレスリリースを中心にWebニュースを見ていくと、「プロンプトエンジニア」「プロンプトエンジニアリング」をめぐる企業の動向が読み取れる。
- 最初期
ChatGPTを取り入れたサービスを開発しましたというプレスリリースと、ChatGPTの活用にはプロンプトエンジニアリングというスキルが大事。今後はプロンプトエンジニアという職種・仕事が生まれてくるという記事が主流となる。
- 3月後半
プロンプトエンジニアリングを社内に根付かせようという施策が多く出てくる。特にChatGPTを社内の福利厚生に入れて、プロンプトエンジニアリングの向上、プロンプトエンジニアの育成を目指す、というプレスリリースが複数社から出されている。これをニュースメディアが取り上げて記事にした。
- 4月
企業の商品サービスとして、プロンプトエンジニア・プロンプトエンジニアリングの育成を主軸に据える発表が増えた。具体的には以下のようなサービス提供開始の発表が増えている。
- プロンプトエンジニアリングの教育・研修
- プロンプトエンジニアリングのコンサルティング
- プロンプトエンジニアリングの専門情報サイト
この傾向は「Qlipper」のトレンドワード(AIが時間軸とワードの出現頻度などをもとに判断)にも現れている。
3月のトレンドに「福利厚生」、4月のトレンドに「育成」が入っている。企業の動向として、自社社員にプロンプトエンジニアリングを身につけさせる段階からプロンプトエンジニアの育成やプロンプトエンジニアリングそのものを商品として提供する段階へ移行しつつあることがわかる。
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ProductZine編集部(プロダクトジンヘンシュウブ)
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