はじめに
「リサーチのインハウス化」に切り込む本連載。前回までは、スマートバンク社、タイミー社といったソフトウェアに強みを持つスタートアップの事例を紹介しましたが、今回は、ハードウェアとソフトウェアを融合させた開発を行うウーブン・バイ・トヨタ株式会社に話を伺います。
同社は、モビリティカンパニーへの変革を掲げるトヨタグループにおいて、ソフトウェアづくりプラットフォームや自動運転/先進運転支援技術の開発、さらに2025年秋に実証実験開始を予定する「ウーブン・シティ」での実証プロジェクトといった先端研究を担っています。
今回は、ソフトウェアだけでは完結しないプロダクト開発に、「顧客開発」のアプローチで挑むウーブン・バイ・トヨタの「Smart Logistics」開発チームにインタビューを実施。プロダクトマネージャーの近藤秀樹氏をはじめとする4人のメンバーに、現場で起きた変化などをお伺いします。
インタビュイー一覧
- 近藤秀樹氏:ウーブン・バイ・トヨタ株式会社 Staff Product Manager/Lead of Smart Logistics Biz&UX
- 村澤佑介氏:ウーブン・バイ・トヨタ株式会社 Staff Product Manager/Lead of Mobility Vision
- 片山沙映氏:ウーブン・バイ・トヨタ株式会社 Product Manager/Smart Logistics Biz&UX
- 遠山義明氏:ウーブン・バイ・トヨタ株式会社 Senior Engineer/Smart Logistics Software
トヨタグループのモビリティカンパニーへの変革を担い、「ウーブン・シティ」を推進
──浜岡(以下省略):皆さんが開発中の「Smart Logistics」について教えてください。
近藤秀樹氏(以下、近藤):ウーブン・バイ・トヨタは、モビリティカンパニーへの変革を掲げるトヨタグループの一員として「ウーブン・シティ」での実証プロジェクトを推進しています。
私たちのチームが取り組んでいる「Smart Logistics」は、スマートフォンアプリと宅配ロボットを連携させ、「ウーブン・シティ」内の物流の自動化を目指すプロジェクトです。

クリーニングの受け渡しやシーズンオフの荷物の預かりなど、単なる配送にとどまらない、トータルな生活支援サービスの実現を目指しています。「必要だから仕方なく移動する」という義務的な移動から人々を解放し、自分や家族のための大切な時間を生み出せたらと考えています。
現在は、顧客の声を反映しながら開発を進めている段階ですが、「ウーブン・シティ」で住民が実際に暮らし始めたら、リアルな生活の中での試験運用を行う予定です。
そこから得られるフィードバックをもとに、より実用的で便利なサービスへと進化させていきたいと考えています。