LT3:「β版は「ユーザーに作ってもらう」〜AI時代における開発組織の役割の変化〜」
- 発表者:高田愛氏(株式会社Faber Company ディレクター)

新卒2年目の高田氏が直面した課題は、「リリース後に判明するユーザーニーズとのズレの多発」でした。使われない、直せない、工数だけがかかるという最悪の3本セットが続発する状況を、従来のヒアリング手法の改善だけでは解決できませんでした。

ビジネスサイドによる機能開発
Faber Companyでは、マーケティング支援ツールにAI APIを組み込んだ以下の仕組みを構築。
- よく使うプロンプトを保存し、他のユーザーに公開可能
- 企業秘密を社外に出すことなく、社内でのプロンプト共有が可能
- CS(カスタマーサクセス)が作成したプロンプトをユーザーが利用可能
結果、3つのステップによるCS主導のベータ版開発プロセスを実現しました。
1.CSによる機能提案
「こんな機能作ってくれないの?」「なんでこの機能ないの?」という要望に対して、「簡単なバージョンをCSがAIで作ってみて、お客さまに使ってみてもらえばいいじゃん」という提案が可能になりました。
2.ユーザーニーズの深い理解
CSや営業は、PMやエンジニアと比較して圧倒的に多くお客さまと接する機会があります。CSや営業が作成するプロンプトは、「こういう機能が欲しい」「こういうところで困っていた」という顧客の声の具現化そのものです。
3.正式実装への展開
お客さまから「このプロンプトが便利だった」という声があれば、PM・エンジニアサイドが「他のお客さまにも共通するのではないか」と考え、ユーザーヒアリングを実施。使用率が高ければ、本格的なエンジニア稼働による実装に移行します。
この仕組みにより、機能の正式実装でユーザーニーズとのズレが激減し、手戻りなく使われる機能を生み出すことが可能になりました。
総括:開発以外の職種でのAI活用による越境

高田氏は「開発の中だけでAI使っていませんか?」と問いかけ、AIを使ってビジネスサイドを巻き込んだ開発の重要性を強調しました。AIの特徴である「エンジニアじゃなくてもコーディングできる」という特性を活かし、営業・CS・コンサルなどビジネスサイドの活用を推奨しました。
