クライス&カンパニーは、プロダクトマネージャーの転職支援を行う中で蓄積した独自データに基づいた、「プロダクトマネージャー転職市場レポート」を12月11日に公開した。同レポートでは、求人件数・採用動向・年収・求められる経験要件などを分析し、多様化するプロダクトマネージャーの実態を可視化している。
近年はすべての企業規模で求人数が増加し、この3年で1.6倍に達した。「プロダクトを中心に事業を伸ばす」という経営方針の浸透により、SaaSやITに限らず、流通・金融・製造といった領域の大企業でも採用が増加傾向にある。
会社規模別の採用トレンドは以下の通り。
- 大企業:物流・小売、金融などでDXが進み、新規ポジションや子会社設立による採用が拡大
- 成長ステージ企業:マルチプロダクトやコンパウンド戦略に向け、TechPMやデータ基盤PMといった専門職ニーズが増加
- 50〜100名規模:PMFフェーズにおける顧客理解と事業拡大を担うポジションとして重要性が増している
- 全体傾向:企業規模に関係なく、AI活用に取り組む多くの企業で「AIプロダクトマネージャー」の採用が目立つ

年収別では、全体の求人数が増加する中で、とりわけ高年収レンジ(1000万円以上)の求人比率が拡大している。2024年度には、年収1500万円以上の求人が約20%を占める水準となった。
これはプロダクトマネージャーが「事業成長のドライバー」とみなされ、経営視点を持つ人材への投資が進んでいることを示唆している。なお、年収の中央値は1000万円前後で安定的に推移し、全職種の中でも高水準に位置付けられる。

ビジネスモデル別の傾向は以下の通り。
- BtoB領域(約7割):企業のDX推進や業務系SaaSの増加により最多。業務フローの理解力や、複雑なステークホルダー調整力が重視される
- BtoC領域:PM自身がユーザー体験できるため、行動データやA/Bテストを高速で回す「データドリブンな意思決定能力」が求められる

キャリアステージ別では、ジュニア(42.9%)がもっとも多く、ミドル(31.2%)がそれに続き、転職市場の中心はジュニア・ミドル層となっている。
決定者の中心は「実務経験があり次の成長ステージを目指す層」で、企業の約7割がこの層を採用している。一方で、企業側はシニアクラスの人材を強く求めているものの、人材供給が追いついておらず、シニア層が圧倒的に不足していることが課題といえる。

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ProductZine編集部(プロダクトジンヘンシュウブ)
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