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WACUL、ユーザ調査のベストプラクティスをまとめたレポートを公開。自社既存顧客への1対1インタビューに高い満足度

 WACULは、ユーザ調査の経験がある担当者に過去の調査についてアンケートを行い、示唆を得るために抑えるべきポイントについてベストプラクティスをまとめたレポートを公開したことを、2月1日に発表した。

 顧客理解が重要なマーケティングにおいて、ユーザ調査(顧客調査)はどの企業も取り組むべき施策の一つ。同社でもマーケティングDXのコンサルティングで戦略の立案・見直しで積極的に取り入れられている。しかしユーザ調査はそれ自体がコンバージョンを生み出すものではないせいか、広告やSEOといったほかのマーケティング施策ほど普及しておらず、ノウハウも広まっていない。また「まずは顧客について広く知りたい」といった漠然とした目的のもと実施され「新たな気付きは特になかった」といった声も散見される。

 そこで同社では「ユーザ調査」の勝ちパターンを見つけるべく、130人にアンケート調査を実施した。調査の結果、ユーザ調査の形式は1対1インタビュー一択となり、調査対象は競合他社より自社の既存顧客に実施することでより役立つ調査結果を得られることがわかった。また、インタビューは顧客視点を養う効果が高いため、自部署だけに閉ざすことなく他部署のメンバーや事業責任者を同席させることが有効であることもわかった。

 調査結果のサマリは以下の通り。

  • 1対1インタビューは5人目でユーザの傾向がおおよそ把握できる

 回答者のうち「アンケート調査」を実施したことがある人は80.3%、「1対1インタビュー」は63.1%、「グループインタビュー」は57.7%だった。中でも1対1インタビューは年間約10人に実施されており「5人目でユーザの傾向がおおよそ把握できる」という結果が出た。

  • ユーザ調査の結果が「役に立った」と回答した人は92%

 「自社の強み/弱みが明確になった」「必要な施策が明確になった」など、ユーザ調査が何かしら役に立ったと回答した人は92.0%、「思ったよりも役に立たなかった」と回答した人は8.0%にとどまった。また、全体の8割が「調査の目的を達成できた」と回答しており、ユーザ調査は総じて実施者にとって満足度が高いものであると言える。

  • 役立つ調査結果を得られる確率が高いのは「1対1インタビュー」

 アンケート調査・1対1インタビュー・グループインタビューという3つの調査形式のうち、1対1インタビューのみ「思ったより役に立たなかった」と回答した人が一人もいなかった。1対1インタビューは調査設計の精度に寄らず、誰もが再現性高く気付きを得やすい形式と言える。

  • 調査対象者の選定ミスの多くは「競合他社の既存顧客」

 「そもそも調査対象が間違っていたことにより、調査結果が役に立たなかった」と回答した5人のうち4人は「競合他社の既存顧客」に調査を行っていた。一方で、役立つ調査結果を得られたケースの多くは「自社の既存顧客」を対象にしていた。

  • モデレータのスキル不足は調査結果に悪影響をおよぼす

 調査結果が思ったよりも役に立たなかった理由として「モデレータ(インタビューの進行役)のスキル不足で聞きたいことが聞けなかった」を挙げた人が38.1%いた。この場合におけるモデレータの特徴は「恣意的な回答に誘導しようとしていた」だった。

  • 事業責任者がインタビューに同席しているか否かに差あり

 役に立ったインタビュー調査とそうでない調査を比較すると「自部署だけでなく他部署のメンバーや事業責任者にもインタビューに同席してもらっているかどうか」に差が出た。調査結果が役に立たなかったケースでは、自部署だけに閉じて調査を行っていた。

 調査からの同社による提言は以下の通り。

  • 形式は「1対1インタビュー」一択、被験者は最低5人を目標に

 1対1インタビューは、グループインタビューやアンケート調査に比べて、誰もが再現性高く気付きを得やすい。そのため、調査設計やモデレートに不安がある場合は迷わず「1対1インタビュー」を採用すべきである。なお、およそ5人目でユーザを把握できる傾向があるため、最低5人を目標に実施するとよい。

  • 調査対象は競合他社より「自社の既存顧客」

 「そもそも調査対象が間違っていたことにより、調査結果が役に立たなかった」と回答したほとんどの人は「競合他社の既存顧客」にユーザ調査を行っていた。新規事業立ち上げ時など「競合他社の既存顧客」を選ばざるを得ないケースもあるだろうが、基本的には「自社の既存顧客」を調査対象にするとよい。

  • 経験豊富なモデレータの力を頼るのがベター

 インタビューにて被験者からありのままの事実を聞き出すには、当然ながら恣意的な回答を誘導したり、言質を取りにいってはならない。被験者を緊張させることなく、話しやすい空気を作ることも重要。モデレータの振る舞いは調査結果への影響度が高いため、経験豊富なベテランにお願いするのがベターである。現に、役立つ調査結果を得られたケースにおいてはパートナー企業と協業している割合が高い。

  • インタビューには事業責任者も同席させる

 調査結果が役に立ったと回答した人は「自部署だけでなく他部署のメンバーや事業責任者にもインタビューに同席してもらっている」傾向があった。インタビューのモニタリングには顧客視点を養う効果が高いため、自部署だけに閉ざすことなく周囲も同席させるのがよい。

  • 「顧客理解が深まった」だけで満足してはならない

 ユーザ調査が何かしら役に立ったと回答した人は92.0%と、ユーザ調査は総じて実施者にとって満足度が高い。だからこそ、現状のユーザ調査に甘んじてしまうリスクもある。同調査で導き出した勝ちパターンを参考に、より多くの気付きを得られるユーザ調査を追求するのがよい。

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ProductZine編集部(プロダクトジンヘンシュウブ)

「プロダクト開発」にフォーカスしたオンラインメディアです。プロダクトマネージャーや、プロダクトマネージャーを目指す方をはじめ、チームメンバーや事業責任者、テックリードなど、プロダクト開発を「正しく」進めていきたいすべての人のために、プロダクトマネジメントに関するあらゆる知見をお届けします。

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