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ProductZine Day&オンラインセミナーは、プロダクト開発にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「ProductZine(プロダクトジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々のプロダクト開発のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

ProductZine Dayの第2回開催です。

ProductZine Day 2024 Winter

ProductZine Day 2024 Winter

日本で(たぶん)一番多くのプロダクトマネージャーに会っているエージェントから学ぶ、キャリア構築のイロハ

キャリアコンサルタントが解説する、プロダクトマネージャー転職市場と転職先の見極め方

日本で(たぶん)一番多くのプロダクトマネージャーに会っているエージェントから学ぶ、キャリア構築のイロハ(前編)


 ハイクラス人材のキャリア支援を展開する株式会社クライス&カンパニー。近年、プロダクトマネジメントの重要性が注目されており、同社でもプロダクトマネジメントの第一人者である及川卓也氏を顧問に迎え、2019年ごろからプロダクトマネージャー職の支援に力を入れている。同社のキャリアコンサルタントである松永拓也氏と山本航氏にプロダクトマネージャーの転職のポイントやキャリアの考え方を聞いた。前編では、プロダクトマネージャー求人の状況や、転職先の見極め方などについてお届けする。

2019年以降、年々増加傾向にあるプロダクトマネージャー職

──クライス&カンパニーの概要、およびお二人の経歴についてご紹介ください。

松永拓也(以下、松永)氏クライス&カンパニーは2023年に30期目を迎える人材紹介会社です。ハイクラス人材と呼ばれるような経営の要になる方々の転職のご支援を得意としています。プロダクトマネージャーも経営の要の人材ということで及川卓也さんに顧問となっていただき注力しています。

 私はメーカーの営業職をしていて、2012年ごろから転職エージェント業界に入り、ITやDX人材の支援をするようになりました。

松永拓也(まつなが・たくや)氏

 大手食品メーカー、大手人材紹介会社を経て2018年にクライス&カンパニーへ入社。IT/Web業界に強みを持つキャリアコンサルタントとして10年以上の経験を持つ。2019年プロダクトマネージャーチームの立ち上げを行い、これまで250名以上のプロダクトマネジメントのキャリア面談を実施。2021年プロダクトマネージャーカンファレンス登壇。

山本航(以下、山本)氏:私は日系のコンサルティングファーム出身で、クライス&カンパニーには2018年に入社しました。以前はコンサルファーム出身者など、ビジネス人材を主に担当していたのですが、近年ではプロダクトマネージャーに注目していて、松永と共にプロダクトマネージャーのキャリア・転職支援サイトnoteポッドキャストでも情報発信をしています。国内では一番情報発信できているのではないかと思います。

山本航(やまもと・わたる)氏

 日系戦略コンサルティングファームを経て2018年にクライス&カンパニーへ入社。主にプロダクトマネージャーやコンサル出身者のキャリア支援を専門とし、Podcast番組「プロダクトマネージャーのキャリアラジオ」のパーソナリティを務める。2022年プロダクトマネージャーカンファレンス登壇。

松永:プロダクトマネージャー採用支援チームは5人ほどで、2022年には500人ほどのプロダクトマネージャー希望者にお会いしています。

──求職者はすでにプロダクトマネージャーの方と、これからなりたい人ではどちらが多いですか。プロダクトマネージャー求人の状況をお教えください。

山本:われわれがお会いしている方々の6割ほどが現役プロダクトマネージャーの方で、残りが未経験の方です。現役の方の内訳はジュニアと呼ばれる経験1年〜2年が5割ほどで、残りのうち3割がミドルクラス、2割がマネージャークラスです。

 未経験者で一番多いのはエンジニアでプロジェクトマネジメントの経験を持たれる方や、自分ではコードは書かないものの仕様や要件定義、進捗管理できる人ですね。次に多いのが事業企画や事業開発、セールス、カスタマーサクセスを経験してきたビジネス人材。人数的には少ないのですが、デザイン系出身の方もいらっしゃいます。

 プロダクトマネージャーの求人自体は年々伸びています。2019年頃は、プロダクトマネージャー職があまり有名ではありませんでしたが、及川のようなビッグテック出身者やLINEやメルカリなどのメガベンチャーが注目されるようになり、2020年ぐらいから徐々に増えてきました。コロナ禍とDXによってSaaSが伸びて増えて、今では多くの企業がプロダクトマネージャーを求めるようになっています。また、厳密には違う職種なのですが、ついこの間までWebディレクターと言われていたポジションがプロダクトマネージャーと名前を変えて募集されているようなことも起きています。

 同時に求職者も増えていますね。当初はプロダクトマネジメントやそれに近しい経験のあるミドルクラスが動き始めていましたが、今では未経験でもプロダクトマネージャーを目指す人が増えています。

プロダクト組織を大切にする企業を見極めるには

──求人と求職者の需給バランスや年収はいかがですか? また、プロダクトマネージャーの業務はさまざまですが、求人の際に明確に示されるのでしょうか。

松永ミドル・シニアクラスは圧倒的に企業からの需要が多くて求職者の供給が追いついていない状況です。ジュニアや未経験者の採用も増えていますが、この層は需要より供給が多いです。プロダクトマネージャーを育成できる企業がまだ少ないからですね。

山本年収は上昇傾向にあります。特にミドル・シニアクラスは需要が多いため複数社から内定が出て、年収が上がる傾向にあります。これはプロダクトマネージャーに限らず、テック系人材の年収が底上げされているという傾向がベースにあります。

 プロダクトマネージャーの仕事の定義は人それぞれ、企業や事業ごとに異なるので混乱していると言えます。比較的うまくいっている企業は、業務内容にWhy、What、Howを盛り込んでいます。なぜ顧客にそのプロダクトを届けるのか、どんな業務をどのように行うかをきちんと説明できます。私たちも採用企業との打ち合わせを通じて、「なぜこのような意思決定をするのか」「どんな順番やロジックを大事にしているか」といった情報を確認し、明確に提供される求人は自信を持って求職者の方へご紹介できます。求職者にもプロダクトマネージャー職の選び方の注意点としてお伝えしています。これにコンシューマー向け、法人向け、スタートアップ、大企業による違いはありません。

松永:具体的には、社長などの経営陣や営業担当など、プロダクト組織でない人がどれだけプロダクトを語れるかで見極めをしたらいいとアドバイスします。会社全体としてプロダクト組織を大切にしているか分かるからです。

 また、ジョブディスクリプション(業務内容)に業務をできるだけ細かく書く努力をしていない企業があります。本当にプロダクト組織を大事にしたいなら、しっかり書くべきです。ここをおろそかにしている企業はプロダクトマネージャーを何でも屋としてあつかう傾向にあります。実務レベルでやること、やらないことを明確にしているのがいい企業なので、見極めのポイントと言えます。

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アウトプットではなく、アウトカムをアピールするべき

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

斉木 崇(編集部)(サイキ タカシ)

株式会社翔泳社 ProductZine編集長。 1978年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科(建築学専門分野)を卒業後、IT入門書系の出版社を経て、2005年に翔泳社へ入社。ソフトウェア開発専門のオンラインメディア「CodeZine(コードジン)」の企画・運営を2005年6月の正式オープン以来担当し、2011年4月から2020年5月までCodeZine編集長を務めた。教育関係メディアの「EdTechZine(エドテック...

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