SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

ProductZine Day&オンラインセミナーは、プロダクト開発にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「ProductZine(プロダクトジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々のプロダクト開発のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

ProductZine Dayの第3回。オフラインとしては初開催です。

ProductZine Day 2024 Summer

ProductZine Day 2024 Summer

プロダクトづくりが捗るエキスパートから学ぶFigma/FigJam実践活用術

「連携」と「場」づくりで組織の壁を越える──SmartHRの組織内コミュニケーション

プロダクトづくりが捗るエキスパートから学ぶFigma/FigJam実践活用術 第6回

業務には「ふわっとした領域」が結構ある

 いずれの事例も、いわゆる「デザインツール」の領域にとどまらずさまざまな形でFigma/FigJamが活用されている。関口さんは、これらの事例におけるコミュニケーションデザイナーの動きを「フレームワークを、案件ごとに都度工夫して作る」こと、また「そこにステークホルダーを集めて、プロジェクトを推進している」ことであると指摘する。

 「みんなプロジェクト単位のなめらかさを意識して仕事を進めていて、それはわれわれの領域において非常に大事なことであると言えます」(関口さん)

 ではなぜそこにFigma/FigJamなのだろうか。関口さんはそのポイントとして、幅広い用途が作業者を限定せずシームレスにつなげられること。また、周囲を巻き込みやすく、ツールを使える・使えないで二分しないこと。そして、詳細に設計して作り込むことができるのと同時に、シンプルなホワイトボードとしても使える自由度があることを挙げた。

Figma/FigJamが、デザインに限らず多彩な場面で活用されるポイント
Figma/FigJamが、デザインに限らず多彩な場面で活用されるポイント

 「「場」の使われ方を先に決めなくてもいいという、拡張性が大きなポイントだと思います。データをいかに堅牢に作り、運用するかも大事ですが、実は業務の中にはそうではない「ふわっとした領域」が結構あるのではないかと考えています」(関口さん)

いわば「プロジェクトルーム」やトヨタ式改善でいう「大部屋」のように、デザインツールを「会場」と捉える見方を主張
いわば「プロジェクトルーム」やトヨタ式改善でいう「大部屋」のように、デザインツールを「会場」と捉える見方を主張

 「これは私個人の考え方ですが、われわれデザイナーの成果物の先には、必ず製造や実装といったプロセスがあります。われわれにとっての成果物とは、中間成果物でありプロトタイプです。つまり、デザインは「仮説」をつくる行為と言えます。ということは、デザインツールは「設計室」、現代でいう「プロジェクトルーム」と捉えてもいいのではないでしょうか」(関口さん)

デザインツールをデザイナーの道具ではなく「場」と捉えると、組織において新しい価値を発揮するものになり得る
デザインツールをデザイナーの道具ではなく「場」と捉えると、組織において新しい価値を発揮するものになり得る

 広さも設備も千差万別で、チームによって使い方も大きく異なる現実世界のプロジェクトルームのように、Figma/FigJamがさまざまな形でプロジェクトを進める「場」になっていることがうかがえる事例となった。

全員がFigmaを使いこなせなくてもいい

 今回紹介された活用事例について、ウェビナー参加者から寄せられた質問の一つに次のようなものがあった。

 「チームみんなで機能を使いこなさないと事例のような場を作れなさそうですが、どのように広めていきましたか?」

 植田さんが所属するプロダクトデザイン本部では、ワークショップを実施して全体的な使い方を学ぶ場を設けたり、SmartHR UIを使ったモックアップ制作を体験できるテンプレートファイルを作成したりして、エンジニアに実践してもらっているという。これによりFigmaのUIやツールの使い方の理解が進み、テクニカルな課題の自律的解決に役立っているそうだ。

FigmaのUIやツールを理解しながらモックアップ制作を体験できるテンプレートファイルを社内で提供
FigmaのUIやツールを理解しながらモックアップ制作を体験できるテンプレートファイルを社内で提供

 一方、ビジネスサイドのメンバーとのコミュニケーションが多い関口さんは、あえて使い方を広めることはしないものの、接触する回数を増やすことを意識しているという。使える・使えないに関わらずFigma/FigJamの「場」に入ってもらうことを重視し、コミュニケーションはSlackでも会話でも構わない、というスタンスだ。同時に、デザイナーの側も各種ドキュメントやスプレッドシートなど、ビジネスサイドで使われる「場」に積極的に参加しているという。

 企業がプロダクトを開発し成長していくためには、開発チーム内の連携はもちろん、マーケティングやコミュニケーションデザインとの連携も必須だ。同社のスタイルをすべて踏襲することは難しいかもしれないが、部分的なチャレンジにも今回ご紹介いただいた事例は参考になるだろう。

この記事は参考になりましたか?

プロダクトづくりが捗るエキスパートから学ぶFigma/FigJam実践活用術連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

谷 拓樹(Figma Japan株式会社)(タニ ヒロキ)

Figma Japan株式会社デザイナーアドボケート。中小企業向けのSaaS、フリーランスでの受託、起業やスタートアップでの開発チーム立ち上げを経験。Webのフロントエンド開発や、UI・UX設計をおこなう。現在はFigmaのマーケティングやリソースの設計・開発に取り組んでいる。またデザインシステムに...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

ProductZine(プロダクトジン)
https://productzine.jp/article/detail/3080 2025/01/17 11:00

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

ProductZine Day&オンラインセミナーは、プロダクト開発にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「ProductZine(プロダクトジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々のプロダクト開発のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング