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ProductZine Dayの第3回。オフラインとしては初開催です。

ProductZine Day 2024 Summer

ProductZine Day 2024 Summer

SaaSプロダクトの実例から学ぶプロダクトマネージャーとチームの理想的なあり方

SaaSスタートアップにおける「OKR」「North Star Metric(NSM)」の設定と運用

SaaSプロダクトの実例から学ぶプロダクトマネージャーとチームの理想的なあり方 第2回

3.プロダクトマネージャーチームとしてのOKR設定

 前回の記事でも触れた通り、プロダクトマネージャーの業務は、プロダクト戦略の立案・遂行、ユーザーリサーチ、課題特定、開発の優先順位決定、プロジェクト推進など多岐にわたります。スタートアップでは、これらに加え、会社全体への貢献も求められることが特徴です。

 プロダクトマネージャーチームでは、各プロダクト領域におけるビジネスやNSMにひもづくOKRを設定するのはもちろんのこと、プロダクト成長を加速させる基盤整備を目標としたOKRも重視しています。サービス・プロダクトの向上には「何を作るか」「どれだけ早く提供するか」が重要な鍵となるため、これらを軸に、Quality(品質)やスピードを底上げする仕組みを構築しています。

プロダクト成長を促進する基盤の考え方とOKRとしてフォーカスする部分
プロダクト成長を促進する基盤の考え方とOKRとしてフォーカスする部分

(1)プロダクト戦略を支える基盤整備

 モノグサのターゲットは学校(小・中・高・大学・専門学校など)、学習塾などの教育業界や、資格取得や従業員教育を行う一般企業向けなど多岐にわたる市場を含み、各市場でユーザー層の特性も異なります。特に幼児からシニア層まで幅広い利用者層がいる点はモノグサの特徴です。

 プロダクトマネージャーチームでは、市場ごとの自社の強みを整理し、それを全員で共有することで、マーケットやプロダクト機能ごとに分かれた各プロダクトマネージャーが一貫性のある戦略を立案・実行できるようにしています。この取り組みにより、戦略の品質スピードの向上を促進しています。

 具体的には、OKRに「市場分析の役割分担」を設定し、半年に一度のオフサイトで共有・議論を行っています。これにより、プロダクトマネージャー間の共通認識を深めつつ、戦略の精度を高めています。スタートアップの少人数体制ではもちろん、大企業の規模の大きい組織でも工夫すれば活用できる手法として、ぜひおすすめしたい取り組みです。

分析結果の議論オフサイトでの一つのまとめスライド。領域ごとに担当プロダクトマネージャーがいますが、ブレないProdcut coreを全員で再認識。
分析結果の議論オフサイトでの一つのまとめスライド。領域ごとに担当プロダクトマネージャーがいますが、ブレないProdcut coreを全員で再認識。

(2)プロダクト開発QCDを向上させる基盤整備

 プロダクト開発にはプロダクトマネージャーだけでなく、ビジネスメンバー、エンジニア、デザイナー、QA、サポートなど、多くの役割の方が関わります。その中でプロダクトマネージャーは、全体を俯瞰し、開発プロセス全体を最適化する立場として重要な役割を担っています。

 各開発フェーズ(例:実装フェーズやテストフェーズ)のQCD(品質・コスト・納期)の向上は、該当フェーズを担当する役割・メンバーが主体となるべきですが、フェーズ間や職種間の効率化課題を横断的に把握・改善するのはプロダクトマネージャーの役割とするのが最適です。特に、プロセスの可視化や改善案のドキュメンテーションは、スタートアッププロダクトマネージャーが積極的に担うべき重要な仕事の一つとも考えます。このような改善活動を通じてリリース頻度を増やせれば、ユーザーに価値あるプロダクトを提供する機会が増え、顧客満足度や市場での競争力向上にもつながります。

 プロダクトマネージャーチームのOKRでは、「リリース頻度の向上」を目的に、以下を具体的な目標として設定しています。

  • ドキュメンテーションの充実
  • プロセス全体での重要課題の解決

 これらを継続的に実施することで、開発効率を高め、プロダクトの成長を支えています。

 全体開発プロセスと役割分担を可視化したドキュメント(詳細は自社ブログを参照)をプロダクトマネージャーチームで作成。これによってさまざまな職種の社員メンバーが共通認識を持ってプロセスを実行できます。

最後に

 いかがでしたでしょうか。今回は、チームとOKRやNSMの設定にまつわるポイントについてご紹介しました。さまざまな組織ですでに目標設定やOKRなどを導入してマネジメントを実践していると思いますが、今回の記事内容が何か新たなアイデアとなって読者の皆さまの運用やマネジメントにおいて、活用できる場面があれば幸いです。

 次回は、モノグサのプロダクトマネージャーメンバーから、「プロダクトマネージャーはどのように認知バイアスを乗り越えるべきか」という点を中心にご紹介する予定です。お楽しみに。

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この記事の著者

大野 益久(モノグサ株式会社)(オオノ ヨシヒサ)

モノグサ株式会社 VPoP。 早稲田大学法学部卒業後、日本ユニシス株式会社(現BIPROGY株式会社)にてシステムエンジニアやプリセールス、新規サービス企画などを担当。その後 楽天グループ株式会社にて多数サービスのプロダクトマネジメントを担当、シニアプロダクトマネージャーを経て2023年にモノ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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