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デブサミ2026の初日をProductZineとコラボで開催。

Developers Summit 2026 「Dev x PM Day」

Developers Summit 2026 「Dev x PM Day」

連続的PMFを阻む"壁"の越え方──estie PMFプレイブック

PMFの再現性を高める「3つの規律」と「5つのフェーズ」──estie流“仕組み化”の全貌

連続的PMFを阻む"壁"の越え方──estie PMFプレイブック 第2回

フェーズを通じたプロダクトマネージャーの役割の変化

 フェーズを進める中で、PM(プロダクトマネジメント機能)の役割は大きく変化します。estieでは多くの場合、1人のプロダクトマネージャーがフェーズをまたいで役割をシフトしながら進みますが、状況に応じて新しいメンバーを加えることもあります。

ユニット立ち上げ・開発期:BizDev

 この段階のプロダクトマネージャーは、顧客に徹底的に向き合います。営業資料を使ったコンセプト確認、デザインモックを提示してのヒアリング、定性的な顧客インタビューなど、顧客の「言葉にならない課題」を拾い出す活動が中心です。

 目的は、セグメントとキーとなる課題を特定し、MVP(最小実行可能プロダクト)を明確に定義すること。ここでの失敗は「対象を広げすぎて検証が散漫になる」ことです。

セールスPoC期:セールス

 開発したMVPを実際に自分で売りながら、顧客課題の本質を抽出していきます。重要なのは、単なる機能要望をすべて拾うのではなく、「成約率・単価・リードタイム」で顧客の反応を定量的にモニタリングすることです。

 プロダクトマネージャーは顧客と開発の間で橋渡しをしながら、PoCに必要な要素を最短で整える調整役を担います。

継続PoC期:カスタマーサクセス

 契約した顧客が実際に使い続けるかを確認する段階では、継続率や利用意向度をモニタリングすることがプロダクトマネージャーの主な役割です。ここで継続性を確認しないままセールスを急げば、後から大量のチャーンが噴き出します。短期的な売上に目を奪われず、利用の定着を見極めるのが肝要です。

GTM期:事業企画/営業企画

 再現性が確認された後、プロダクトマネージャーの視座はプロダクト単体から事業全体へと広がります。営業プロセスの設計、プライシングの最適化、カスタマーサクセスの汎用化など、拡販に耐えうる仕組みを設計するのが役割です。

 プロダクトの仕様検討も継続しますが、場合によってはチームメンバーに任せ、プロダクトマネージャー自身は「組織をどう動かすか」により大きな比重を置きます。

 この流れを通じて、プロダクトマネージャーはBizDev → セールス → カスタマーサクセス → 事業企画/営業企画へと役割を変えていきます。個人として担う場合もあれば、新たなメンバーが加入するなど、組織として機能を拡張する場合もありますが、共通するのは「フェーズごとに必要な行動と視座を切り替えられるかどうか」です。

再現性を高める意義

 新規プロダクトが失敗する大きな理由の一つは、「今どのフェーズにいるか」が不明確なまま進んでしまうことです。フェーズを区切り、Exit基準を明示することで、チームは迷わず前進できます。さらにプロダクトマネージャーの役割変化を意識することで、個人でも組織でも必要な動きを先回りして準備できます。

 5つのフェーズ設計は、PMFというあいまいな旅路に地図を与えるものです。これがあることで、PMFは偶然の産物ではなく、再現性のあるプロセスへと変わります。

次のページ
投資と全体俯瞰の仕組み化──チーム投資レビューとプロダクト・マッピング

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この記事の著者

久保 拓也(株式会社estie)(クボ タクヤ)

株式会社estie 執行役員 兼 マーケットリサーチ事業本部 事業責任者 早稲田大学卒業後、博展に新卒入社。2013年にリクルートに転職し、HR領域でGM、拠点長などを経験。その後、ユアマイスターに参画、資金調達や中期戦略立案を推進し、プロダクト及び事業責任者として従事。2022年8月に株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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