Ragateは12月24日、ビジネスパーソンを対象に実施した「UI/UX開発における手戻りの実態調査」の結果を発表した。開発現場において、デザイナーからエンジニアへのハンドオフ(実装への移行)時に発生する「手戻り」の実態や、その要因となるコミュニケーションコスト、さらに近年注目されるAI活用(Vibecoding)への関心度が明らかになった。
調査結果によると、デザインから実装への移行時における手戻りが「ほとんど発生しない」という回答は49.1%に留まり、約半数のプロジェクトで手戻りが発生していることがわかった。特に頻度が高い層においては、以下の実態が浮き彫りとなっている。
- 「ほぼ毎回発生する」「半分以上で発生する」を合わせると全体の25.5%に達する
- 4人に1人のプロジェクト現場で、常態的に手戻りに追われている可能性がある

UI/UX開発における具体的な課題(複数回答)としては、「デザイナーとエンジニア間のコミュニケーションコスト」が38.9%で最多となった。次いで「プロトタイプ作成に時間がかかりすぎる」(38.5%)、「デザインレビューの繰り返しによる工期延長」(34.4%)が続き、意図の伝達不足が「想像していたものと違う」という実装後の乖離を招いている様子がうかがえる。

また、使用しているプロトタイピングツールについての回答結果は、現場のツール環境の乖離を示唆している。
- 「PowerPoint・Keynote」が32.4%で最多となり、依然として汎用ドキュメントツールが主流である
- 一方で「生成AI・バイブコーディング」も21.8%に達しており、AIによるコード生成・プロトタイピングの普及が始まっている
Figmaなどのデザイン特化型ツールが普及する中でも、ビジネス職を含めた広義のプロジェクト全体では、依然としてPowerPointなどの汎用ツールで仕様やイメージが共有されている実態が見て取れる。こうした「使用ツールの不一致」や「表現力の限界」が、エンジニアへの正確な意図伝達を阻み、コミュニケーションコストを増大させている一因とも考えられる。

こうした背景からか、AIが自然言語や曖昧な指示からコードやUIを生成する「バイブコーディング(Vibecoding)」への関心は高い。「すでに導入している」(16.4%)と「導入を検討したい」(34.4%)を合わせると過半数の50.8%に達しており、手戻りの防止や、職種間の共通言語としての新たな開発手法へ期待が高まっていると言えそうだ。

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ProductZine編集部(プロダクトジンヘンシュウブ)
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