はじめに
「いつもどんな時間軸で考えていますか?」「ロードマップはどうやって考えていますか?」
ミートアップで出会ったプロダクトマネージャーの方や、顧問先、DMなどで、そんなご相談を受けることが増えた。
この問いは私自身も意識して考えてこなかったものの、見つめ直してみると明確な法則、整理の方法が自分にあることに気づいた。また、この整理方法は、話してみると私だけではなく、活躍されているシニアなプロダクトマネージャーの方には、表現は違えど、共通して定着している習慣のようだ。
本記事では、シニアプロダクトマネージャーの思考整理術を言語化することで、今まさに以下のようなことに悩んでいるプロダクトマネージャーの方々の一助になることを目指したい。
- 「アイディアは思いつくが肝心なときに引き出せない」
- 「考えているのにその場で伝えられず、“考えが浅い”と経営者や上司に言われる」
- 「考えているのにその場で伝えられず、“抽象的で分からない”とチームに言われる」
対象読者
- 新米や、ジュニアなプロダクトマネージャー
- 一人プロダクトマネージャーで相談相手がいない人
筆者の立ち位置
改めて自己紹介すると、筆者はプロダクトマネージャーの蜂須賀大貴(@PassionateHachi)といい、普段はPIVOT株式会社で次の業務を行っている。
- ビジネス映像メディア「PIVOT」のWeb、iOS、Androidのプロダクトマネージャー
- Podcast「PIVOT Growth Drivers」のMC
- プロダクト組織の1人目として採用、組織開発、事業開発
本記事は、そんな「スタートアップ企業で日々の開発プロジェクトから中長期的なプロダクト、事業成長までを担う立場」としての視点でまとめていく。
アイデアは未分類で発想し、時間軸で分類せよ
「どうしたら売上が上がるのか」「どんな施策が最適か」
このような問いに日々向き合っているのがプロダクトマネージャーである。アイデアはチームとのディスカッションや、机上で頭を抱えながらうなるだけでは生まれてこない。
書籍『アイデアのつくり方』(ジェームス W. ヤング 著/竹内均 解説/今井茂雄 翻訳、CCCメディアハウス)で言われているように、日頃のインプットをもとに、深く深く熟考したアイデアの卵がいつふ化するかは分からない。それが散歩中なのか、入浴中なのか、布団に入った瞬間なのかは誰も知る由もない。
しかし、私たちがアイデアを思考するときはどうだろうか?
「来週の会議までにユーザー獲得施策を考えないと……」「この機能が刺さるユーザーを探さないと……」
なにか条件と期間を、狭く限定して考えていないだろうか? これでは、アイデアの卵は生まれても、期待する制限時間内にふ化することがない。なぜなら、アイデアの卵はいつかえるかが分からないのだから。
「来週のミーティングまでに絶対ふ化させる!」。そんな博打のような根性論には私は頼りたくない。
であれば、テーマや期間を限定せずに、自然に思いついたアイデアをその場限りのものにせず、きちっと整理整頓して、ストックしておく。そのアイデアを必要なときに取り出す。そんなことができたら、どれだけ便利だろうか?
実は、私の知る限り、シニアなプロダクトマネージャーはすでに実践している。その鍵は、「常にプロダクトについて乱雑に発想し、結果を整理整頓しておくこと」にある。