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ProductZine Dayの第3回。オフラインとしては初開催です。

ProductZine Day 2024 Summer

ProductZine Day 2024 Summer

データと共感で創る、スマホアプリUXデザイン実践ガイド

AARRRモデルで理解する、アプリのUX改善とグロース戦略

データと共感で創る、スマホアプリUXデザイン実践ガイド 第1回

アプリグロースのためのコミュニケーション施策

施策運用を最適化させるには
施策運用を最適化させるには

 最後に、UXを向上し、アプリをグロースさせるためのアプリ内コミュニケーション施策をご紹介していきます。

 単に機能を提供するだけでは、アプリを成長させることはできません。ユーザーの行動データや属性データから分析された情報をもとに以下のようなコミュニケーション施策を効果的に行うことで、エンゲージメントを上げていくことが大切です。

1. プッシュ通知やアプリ内メッセージの活用

 ユーザーに適切なタイミングで有益な情報を提供する、アプリならではの施策です。

 どんな情報を提供するかはアプリごとに異なりますが、キャンペーン情報など、ユーザーにとって有益な情報をタイムリーに配信することが基本です。不要な情報が届いたり頻度が多過ぎたりするとUXを損ない、通知OFFやアンインストールにもつながります。行動データなどに基づいてパーソナライズし、そのようなことも防いでいきましょう。

 コミュニケーション施策を単独で実施するのではなく、組み合わせることで、より大きな効果が期待できます。

施策の組み合わせによる効果とユースケース例:ファッション系ECアプリの場合

  • アプリ課題:新規ユーザーの購入率が低い
  • 施策例:初回購入を促す限定クーポン×セグメント配信で初回購入を促す
  • ①新規ユーザーに対して、「初回購入限定! 7日間だけ使える30%OFFクーポン」をアプリ内メッセージで配信
  • ②未購入で離脱したユーザーに対して、2日後に「期間限定の未使用クーポンがあります」というプッシュ通知を配信
  • ③未購入でダウンロード後7日以内に再起動したユーザーに対して、「利用期限が近いクーポンがあります」とアプリ内メッセージ配信

 また、初回購入直後は「アプリ内メッセージ× オンボーディングのステップ配信」などでアプリの主要な機能の操作方法を説明することで、以下のような効果が期待できます。

  • 購入率向上:期間限定クーポンにより、初回購入のハードルを下げ、購入につなげる
  • 新規定着率の向上:機能や操作説明などのオンボーディング施策で、アプリ離脱を軽減する
  • 顧客満足度向上:スムーズな購入体験を提供する

2. チュートリアルの最適化

 新機能の紹介はもちろん、離脱したユーザーの再獲得にも活用できます。

 例えば、ある機能を操作完了前に離脱したユーザーがいた場合、もしかしたら使い方が分からなかった可能性が考えられます。このような行動を取ったユーザーに対して、操作の案内を配信することで、利用再開を促せる場合があります。

  • 新機能のお知らせ
  • 使い方が分からなかった可能性のあるユーザーへのガイダンス

3. NPS(Net Promoter Score)の測定

 アプリの評価を何段階かで評価してもらい、アプリの評価を把握します。

 「購入完了した人」など、特定のコンバージョンポイントを通過した人に聞くのがおすすめです。

 一般的なNPSは0から10の11段階で顧客ロイヤリティを数値化しますが、アプリでは5段階評価が多く見られます。常設して継続的に評価をもらうことで、年単位でエンゲージメントの推移を評価しているケースもあります。

 ちなみに星の評価というと、アプリストアの評価を増やすためのストアレビュー改善施策もありますが、今回の話はこれとは別になります。

  • 特定のコンバージョンポイント通過後のアンケート実施
  • 継続的な評価収集による改善活動の効果測定

4. チャットボットやFAQの提供

 ユーザーの疑問や問題を速やかに解決するためのサポートを提供します。

 先ほどご紹介した過去の調査でも、FAQ・よくある質問は幅広い年代で見られていることが分かっています。アプリ関連だけでなく、サービス全体に関するものも用意できると良いでしょう。

  • アプリやサービスに関する質問を速やかに解決する仕組み
  • よくある質問とその回答の整理

 これらのコミュニケーション施策は、一度提供して終わりではありません。A/Bテストなどを通じて継続的に最適化していきましょう。

さいごに

 本記事では、UX改善の羅針盤となるAARRRモデルを軸に、アプリを成長させていくための戦略と考え方を解説しました。各フェーズにおいてUXのポイントを理解し、「良いUX」のための4つの要素を押さえてユーザー中心の設計を行うことで、アプリを持続的に成長させていくことが肝要です。

 次回はUX改善に欠かせない「データに基づいた根拠」を理解するために、定量データ分析とはどのようなものを指すのかや、AARRRモデルの各フェーズで見るべき指標について解説予定です。

 アイリッジではアプリマーケティングやアプリの体験価値向上を目的として、データに基づいた戦略策定から実行支援、UX改善までをワンストップで提供しています。詳しく知りたい方は以下のサービスページをご確認ください。

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この記事の著者

西井 幸子(株式会社アイリッジ)(ニシイ サチコ)

株式会社アイリッジ UXコンサルタント/マーケティングプランナー アパレル業界でVMDや店舗管理に携わった後、デジタルエージェンシーで大手ブランドやサービスのデジタル戦略やコンテンツマーケティング、メディアガイドラインの策定等に従事。アイリッジではマーケットリサーチやアプリを中心としたユーザー...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://productzine.jp/article/detail/2828 2024/10/04 11:00

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