はじめに
第2回に引き続き、今回はモノグサでプロダクトマネージャーとして働いているマチューから寄稿させていただきます。(改めてになりますが)EdTechスタートアップとして、私たちの会社では「記憶の定着」に特化したSaaS型学習サービス「Monoxer」を展開しています。このサービスは、学校、塾、企業をはじめとする多くの現場で活用され、記憶定着の支援とその可視化を通じて、学業成績の向上、資格取得、企業研修の効率化をサポートしています。また、昨年にリリースした幼児向け学習アプリ「Monoxer Junior」は、2025 CES Innovation Awardを受賞するなど、新規toCサービスの展開も進めています。

前回までの記事では、モノグサのVPoPよりスタートアップにおけるプロダクトマネージャーチームの立ち上げや、OKR・North Star Metricの運用についてご紹介しました。今回は、プロダクトマネージャーの業務における認知バイアスについて取り上げます。プロダクトマネージャーは日々の意思決定の中で、無意識のうちに認知バイアスの影響を受けることがあります。この記事では、そのバイアスに対処し、より良いプロダクトをユーザーや顧客に届けるための方法をお伝えします。少しでも皆さんの業務の参考になれば幸いです。
1.「認知バイアス」とは何か?
認知バイアス(cognitive bias)とは?
ウィキペディアによれば、認知バイアスとは「判断が合理性から逸脱するパターン体系の一つ」とされています。簡単に言えば、私たちが無意識のうちに誤った判断をしてしまう傾向のことです。
1972年の研究論文で初めて認知バイアスが取り上げられて以来、多くの研究が進められ、さまざまなバイアスの種類や、それが日常の意思決定に与える影響が明らかになってきました。
主な認知バイアスの種類
認知バイアスにはさまざまな種類がありますが、ここでは代表的なものを紹介します。
確証バイアス(Confirmation Bias)
最も広範で影響力のあるバイアスの一つであり、自分の信念や意見を裏付ける情報ばかりを集め、反対意見や異なる視点を無視する傾向のこと。例えば、自分の考えに合致するデータを優先的に採用し、都合の悪い情報を軽視してしまう。
可用性バイアス(Availability Bias)
すぐに思い出せる情報を重視し、それが現実を正しく反映していると考えてしまう傾向。例えば、知人が交通事故に遭った話を聞くと、「交通事故はとても多い」と思い込むが、実際の発生率を冷静に比較していない。
バンドワゴン効果(Bandwagon Effect)
「みんながやっているから」と流行や多数派の意見に流されてしまう傾向。SNSで人気のある意見を無意識に正しいと感じてしまうのも、このバイアスの影響である。

このように、認知バイアスは私たちの思考に大きな影響を与えています。プロダクトマネージャーが正しい判断を下すためには、まず自分自身がこうしたバイアスの存在を理解し、それに気づくことが重要です。