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ProductZine Dayの第3回。オフラインとしては初開催です。

ProductZine Day 2024 Summer

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事業責任者にとって「ベストなKPI設定・運用」とは? 経営視点でプロダクトを成功に導くための考え方

より精緻なKPI設定・実行のために、イタンジが実施した取り組み ─組織体制変更など─

事業責任者にとって「ベストなKPI設定・運用」とは? 経営視点でプロダクトを成功に導くための考え方 第2回

経営戦略とのつながりが整理されず、チーム最適のKPIに

 さらに組織面でも課題が浮上していました。不動産業界に特化したバーティカルSaaSでは、高い専門性を持つ人材が不可欠ですが、そういった人材は採用が難しく、限られた社内リソースで対応せざるを得ない状況でした。

 人的リソースに余裕がない状況では、市場の成長性が高いプロダクトに対して、より多くの開発リソースや営業リソースを配分すべきです。しかし、当時は各プロダクトの役割や目標数字が明確に定義されておらず、リソース配分は現場の感覚的な「足りているか、足りていないか」という判断に委ねられていました。

 限られたリソースを機動的に活用し、事業の進捗に応じて柔軟にアクションを変更する仕組みが整っておらず、組織体制やKPI設計の面で最適化が図られていなかったのです。

精緻なKPI設計の実現に向け、組織を事業本部制に移行

 こうした背景からイタンジでは、2024年11月に大きな組織変更を行いました。これまでの「営業」「カスタマーサポート」を中心に顧客エリアごとにチーム分けをした組織から、「賃貸仲介支援」「賃貸募集支援」「賃貸管理支援」「施工支援」「売買支援」という5つを軸とした事業本部制への移行を決めたのです。

 従来はセールス、カスタマーサクセスは各々が多数のSaaSプロダクトを取り扱う組織構造でしたが、新体制では類似したプロダクト群ごとに事業本部を設置しています。各事業本部に責任者を置き、その下にセールス、カスタマーサクセス、プロダクトマネージャー、エンジニアを配置する形となり、各プロダクトに関する意思決定を、それぞれの事業本部内で完結できるようにしました

事業部ごとに「重視する目標やKPI」を設定可能に

 事業本部制への移行により、目標設定やKPI設定のプロセスも変わりました。新たな体制下では、会社全体の目標を明確に定めた上で、その目標を各事業部門に落とし込めるようになりました。これにより、各事業部門のゴールがより具体的になり、それに基づくKPI設定の方向性も明確になったのです。

 さらに今回の組織変更によって、より詳細な事業計画を立てられるようになりました。具体的には、目標達成に必要な開発内容や機能追加、オプション商品の獲得目標額、アップセル金額などを、より精緻に設定できるようになっています。それに伴って、目標を実現するために必要なセールスやエンジニアの人員数も、より正確に把握できるようになりました。

 現在では、すべての目標を定量化し、具体的な数値とタイムラインを設定しています。事業本部制によってフォーカスが明確になったことで、採用計画、開発パイプラインの進捗管理、新規獲得目標社数、アップセル対象企業数など、あらゆる指標を具体的な数値として設定できています。このように、目指す姿を数値化し、そこから逆算して現在の目標を設定する体制が確立できました

 人的リソースの課題については、各事業本部がより明確な目標を持ち、それを達成するために必要な人員を最適に配置できる仕組みを構築しました。例えば、複数事業間の成長率を比較し、伸びが著しい事業へ迅速にリソースを再配分するなど、柔軟な経営判断が可能となっています。また、進捗状況をリアルタイムにトラッキングすることで、状況に応じた戦略変更や人員調整をスムーズに行える体制も整備されました。

 このような施策により、経営資源の最適な配分が可能となり、より機動的で戦略的な経営判断ができる体制が整ったのです。

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より精緻なKPIポートフォリオ管理が可能に

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この記事の著者

井口 俊介(イタンジ株式会社)(イグチ シュンスケ)

イタンジ株式会社 取締役 副社長執行役員 COO 2010年に新卒でジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社に入社。約7年間、営業・トレーニングおよびプロダクトマーケティングに従事。2019年、Ross School of Business, University of MichiganにてMB...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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