LT3:「多言語カスタマーインタビューの“壁”を越える~PMと生成AIの共創~」

株式会社ジグザグでプロダクト責任者を務める松野氏は、世界228の国と地域を相手にするグローバルEC事業において、多言語でのカスタマーインタビューを実施する際の課題と、生成AIを活用した解決策について語りました。
グローバルカスタマーの多様性を理解するために深いインサイトを得る必要がある一方で、言語の違いや文化的・社会的背景の理解や、議事録ツールを使った発言のテキスト化・翻訳・加工にも時間的リソースがかかり、効率的なリサーチが困難な状況でした。
リサーチ設計から分析における生成AI活用

松野氏はインタビューのプロセス全体でAIを活用しています。設問設計からインタビュー実施、議事録作成、発言の切片化、共通パターンの抽出、インサイトの構造化まで、ChatGPTを中心としたAIツールを活用しています。
台湾カスタマーの配送に関する課題分析では、定量データでは「配送が遅い」「配送に不満がある」という声が多かったため、当初は配送スピードが課題と考えていました。しかし、AIを活用した横断的な分析により、実際の課題は「自宅で受け取れない」「再配達ができない」という受け取り側の問題であることが判明しました。
この分析結果を踏まえ、台湾に実際に赴いて現地調査を実施。集合住宅のポストの構造、コンビニのロッカー整備状況、大手ECプラットフォーマーの受け取り所設置状況を確認し、共働き・集合住宅・コンビニ受け取りが浸透している現地の生活文化を理解しました。配送設計自体が自社サービスとずれているという本質的な課題を発見しました。
総括:人間にしか把握できない文脈にこだわる
松野氏は、AI活用の成功要因として「仮説構築をスピーディーにでき、チーム内の合意形成をスムーズにできる」ことを挙げました。一方で、注意点として「AIの答えを鵜呑みにしてはいけない」「思考の深掘りを止めてはいけない」ことを強調。数が多いからといってそれがクリティカルな課題とは限らず、優先順位や見極めは人間が行う必要があると語りました。
また、現地での「肌感」「温度感」といった背景や文脈は人間にしか感じ得ない部分であり、AI活用と人間の感覚の両方を組み合わせることが重要だと総括しています。


 
              
               
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                              
                               
                  
                   
                      
                       
                      
                       
     
     
     
     
    