メンバーズは12月25日、UXデザインファームのアジケと株式譲渡契約を締結し、2026年1月1日付で同社を子会社化することを発表した。
メンバーズは、デジタル人材の伴走による企業の「内製型DX推進」を現場レベルで支援する事業を主力としている。一方のアジケは、金融機関を中心としたデジタルプロダクトにおいて、UX・UIデザインからデザインシステム構築、アクセシビリティ対応、さらにはデザイン品質保証(Design QA)までを一貫して手がけ、高い評価を得ている企業だ。
今回のグループ化は、メンバーズが持つ実装・運用力と、アジケが持つ高度な体験設計・デザイン品質管理のノウハウを統合し、DX支援体制を次のフェーズへ引き上げる狙いがある。なお、アジケは子会社化以降も法人格を維持し、現行のブランドや事業体制を継続する。
PM・開発現場にとっての意義:デザイン品質と実装の統合
プロダクトマネジメントの現場において、デザインの一貫性維持やアクセシビリティ対応は、リソース不足により後回しにされがちな課題である。アジケは特に以下の領域に強みを持っており、今回の連携により、メンバーズの顧客企業はこれらの専門性を大規模開発の中で活用可能となる。
- デザインシステム構築と運用:金融機関などの堅牢性が求められる領域での、スケーラブルなUI構築。
- Design QA(デザイン品質保証):実装段階でデザイン意図が崩れないよう品質を担保するプロセス。
- インクルーシブな体験設計:アクセシビリティ対応やUXライティングを含めた、誰にでも使いやすい設計。
今後の展開:公共領域への拡大と人材育成
メンバーズは今後、アジケの知見をグループ全体へ展開し、以下の取り組みを強化していくとしている。
- 金融・公共領域のDX支援拡大:信頼性と高いユーザビリティが同時に求められる行政・自治体向けサービスの支援強化。
- グループ全体のUXスタンダード確立:アジケの品質保証ノウハウを標準化し、グループ全体のサービス品質を底上げする。
- PMO×UX人材の育成:ビジネスとデザインの両方を理解し、プロジェクトを現場から牽引できるトップレベルの人材育成。
大規模なシステム開発能力を持つ企業が、ブティック型の強力なデザインファームを取り込む動きは、DXにおける「体験品質」の重要性が、経営レベルで再認識されていることの表れと言えるだろう。
なお、本件によるメンバーズの2026年3月期業績への影響は軽微としている。
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ProductZine編集部(プロダクトジンヘンシュウブ)
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