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ProductZine Day&オンラインセミナーは、プロダクト開発にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「ProductZine(プロダクトジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々のプロダクト開発のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

デブサミ2026の初日をProductZineとコラボで開催。

Developers Summit 2026 「Dev x PM Day」

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Mixpanel, Incからのプロダクトティップス

業界平均という「罠」にハマっていないか? 意味のないベンチマークを捨て、プロダクトを伸ばすための「正しい指標」の選び方

Mixpanel, Incからのプロダクトティップス 第34回

 「ダッシュボードは充実しているのに、アクションにつながらない」「数字報告だけで会議が終わってしまう」。多くのチームが直面するこの課題は、データの「見方」を変えることで解決できるかもしれません。Mixpanelは、組織が受動的なデータ消費から、能動的な「意思決定」へとシフトするためのチェックリストを作成しました。プロダクト、マーケティング、エンジニア、データの各チームが自問すべき「30の問い」を紹介します。(編集部)

編注

 原文:「30 essential metrics questions to help your teams turn data into growth」。翻訳にあたり若干加筆修正を行っています。

データ消費型から意思決定型へ

 指標は、結果を報告するためだけのものではありません。好奇心を刺激し、成長の文化を育てるためにこそ活用すべきです。ローデータを追跡することは重要ですが、指標の本当の価値は、完成された数値に対して「なぜ」「どうして」と適切な問いを投げかけることにあります。

 「クリック数」「ページビュー」「イベント数」などのデータは材料です。「コンバージョン率」や「顧客生涯価値」などの指標はレシピに当たります。この区別は重要で、データドリブンな健全な組織であれば「何が起きたか」の報告の域を超えて、「なぜ起きたか」の深層に迫ることができます。

 貴重なデータが先を見据える上での賢明な意思決定へとつながるよう、各チーム(プロダクト、マーケティング、エンジニア、データチームなど)が、受動的なデータ消費型から脱却してデータに基づく能動的な「意思決定チーム」へと移行していくための、質問リストをまとめます。

全チームへの基本的な質問

 チームの役割に関係なく、最初のステップとして取り組むべき質問です。測定対象とその理由について全員が認識を共有できます。

1. 適切なデータを見ていますか? 各指標の定義は統一されていますか?

 お使いの分析プラットフォームで指標を保存・共有できる仕組みがあるなら、主要な指標を定義して共通化し、レポートファイルやダッシュボードをチーム間で共有してください。全員が同じ「信頼できる唯一の情報源(Single Source of Truth)」を見て、議論・意思決定できるようになります。

2. 指標の背後にある「なぜ」が分かりますか?

 明確な目的のない指標は単なる数字です。各データポイントをビジネス目標、ユーザー課題、チームの目標に結びつけることをチームに促します。「データのためのデータ収集」を防ぐ助けとなります。

3. 指標の上昇・下降に対する責任者は誰ですか?

 この質問に明確な答えがない場合は、その指標はおそらく「虚栄の指標」で、意思決定にはあまり重要性がないはずです。

4. これは先行指標? それとも遅行指標ですか?

 バランスの取れた指標ポートフォリオを構築するには、両方が必要です。「先行指標」は将来の結果を予測し(Webサイトのクリック数など)、「遅行指標」はすでに起こったことを示します(収益など)。先行指標を活用して遅行指標に積極的に良い結果をもたらすことに焦点を当てましょう。

5. 指標が上昇、下降、横ばいなら、どのような行動を取りますか?

 この問いにより、その指標が有用かどうかが分かります。数値の変化により、特定の対応が生まれない場合、その指標はKPIではない可能性があります。この質問は、静的なダッシュボードを動的なフィードバックループへと変えてくれるでしょう。

6. 測定対象はビジネスの成果ですか、それとも単なるアクションですか?

 結果を示す指標(例:「顧客生涯価値」)と、取り組みの量を示す指標(例:「送信メール数」)を明確に区別してください。成功する組織は、結果に焦点を当てています。

7. このデータの収集や分析にかかるROIを継続的に測定していますか?

 特定の指標を追跡・保存・分析するために投入したリソースが、どの程度の直接的なビジネス価値を生み出しているのかを、定量的に把握するようチームに促すための問いです。

プロダクトチームへの質問

 プロダクトチームはユーザーニーズとビジネス目標の両方に関わるポジションにいます。活用する指標は、この二面性を反映していることが大切です。

8. 主要な機能におけるコアとなる利用指標は何ですか?(DAU、機能利用率など)

 その機能が実際に使われているかどうか、またどれくらいのユーザーが利用しているのかを把握するための基本的な理解を得ることを目的としています。

9. 「ノーススター指標」は何ですか? この機能はその指標にどのように影響しますか?

 「ノーススター指標(ノーススターメトリック)」とは、プロダクトが顧客に提供する中核的価値を最も的確に捉える唯一の指標です。すべての新機能、テスト、変更はこの指標に紐づけることが重要です。これにより、機能の肥大化や方向性のずれている行動を防ぎます。

 Mixpanelのようなプロダクト分析ツールの中には、「メトリックツリー」という機能がある場合があります。戦略を具体的な行動に変えて、チームの各指標がどのようにノーススター目標へと積み上がっていくかを正確に把握できます。

10. 機能のリリース後にその影響をどう測定しますか?

 リリースで終わりではなく、機能が本当に成功したのかを、ユーザー行動への長期的な影響で測ります。最初の利用だけでなく、継続率、エンゲージメント、機能全体がユーザージャーニーに与える影響を分析することで、継続的な学習と反復の文化を促進します。

11. それはユーザー行動の測定ですか? それともユーザーの発言ですか?

 定量データ(プロダクト内でのユーザーの行動)と定性フィードバック(インタビューや調査での発言)のバランスが重要です。定量データは「何」を示し、定性データは「なぜ」を明らかにします。また、プロダクト分析ツールを活用すると、セッションリプレイやヒートマップで「何」と「なぜ」を把握できます。

12. 実験結果を細分化し、リスクを最小化できる「フィーチャーフラグ」を活用していますか?(例:A/Bテスト)

 この問いは、技術的メカニズム(フラグ設定)と戦略的目標(実験)を結びつけることで、プロダクトの変更を安全に展開することが可能となり、全面展開前に科学的にテストする保証となります。

13. 監視すべき「対抗指標(Counter Metrics)」は何ですか?

 どの指標にも潜在的なデメリットが存在します。例えば、「ページ滞在時間」の向上を追求する場合、ユーザー体験を犠牲にしていないか確認するため、ユーザー満足度といった対抗指標を監視する必要があります。対抗指標は全体像を把握させ、意図しない悪影響を防止します。

マーケティングチームへの質問

 マーケティングの指標は、ブランド認知から顧客獲得・維持に至るまで、ビジネス成長への貢献を明確に示す必要があります。

14. この指標は顧客獲得ファネルとどう関係していますか?

 効果的なマーケティング測定はストーリーを語ります。この質問はチームが点と点を結び、自社の取り組みにより、認知段階から支持へと導くプロセスを、つまり、ユーザーを単なる訪問者からロイヤルカスタマーへと移行するプロセスを理解するために役立ちます。

15. 顧客獲得コスト(CAC)は? 顧客生涯価値(LTV)と比べてどうですか?

 健全なビジネスモデルでは、LTVがCACを大幅に上回ることが必要です。これにより、単なるリード生成から利益を生む顧客獲得へ焦点が移ります。

16. 初回コンバージョン後のフェーズ(リテンションおよびエクスパンション)において、データをどのように活用していますか?

 マーケティングの役割は初回販売で終わりません。アップセル、クロスセル、更新率を追跡する指標を検討し、取り組みが顧客ロイヤルティと収益拡大を支えているかを確認しましょう。

17. マーケティングの貢献度を売上高に対して測定していますか? それとも単なるリード数に対して測定していますか?

 リード生成は重要ですが、現代のマーケティングチームは最終的な収益への影響を明確にしなければなりません。この問いは、販売につながる見込みのあるリード(SQL)、成約した取引、そしてマーケティング活動に直接起因する売上高に焦点を当てるように促します。

18. 獲得コスト(CAC)が最も低いだけでなく、顧客生涯価値(LTV)対獲得コスト(CAC)比率が最も高い獲得チャネルはどれですか?

 最も安価なリードは、しばしば最も早い解約につながります。この質問により、目先のコスト削減からチャネルの質への焦点を移し、最も収益性の高い長期顧客をもたらすソースを優先できるようになります。

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データチームへの質問

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この記事の著者

Mixpanel, Inc.(ミックスパネル)

Mixpanelは、29,000社以上に導入されている最新の意思決定分析プラットフォーム。リアルタイムのインサイトや直感的なレポート、柔軟に組み合わせ可能なアーキテクチャを持ち、プロダクト、グロース、データの各チームがよりスピーディに実行、連携強化でき、「何が効果的か」を的確に把握してユーザージャー...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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