プロダクトアナリティクスとは
「プロダクトアナリティクス」や「プロダクト分析」という言葉を聞いたことがありますか? ここで言う「プロダクト」とは、EC、SaaS、ゲーム、サブスクリプション、予約、WebメディアなどのすべてのWebサービスやアプリのことを指します。プロダクトアナリティクスの役割は、ユーザー一人ひとりの行動データを収集して、そのデータを使って最適なユーザー体験の創造をサポートすることです。本連載では、ユーザーのリテンション(既存ユーザーをつなぎとめる力)を上げるための魔法の分析とも呼べる 「プロダクトアナリティクス」について解説していきます。
基礎となるのは「Webサイト」と「メール」
プロダクトアナリティクスで扱うデータを正しく理解するために、インターネットの歴史にも触れておきます。私がアメリカの大学生だった1993年、当時のクリントン大統領とゴア副大統領は、「情報スーパーハイウェイ構想」というまったく新しいアメリカの成長戦略を発表しました。大学の先生から「10年後にはすべての流通がスーパーハイウェイを通じて行われるようになるから、その準備をしなさい」と言われたのを覚えています。それが今のインターネットです。そこから、現在でも使用される2つの大きな機能が広がっていきました。Webサイトとメールです。プロダクトアナリティクスのデータについて考えるとき、このWebサイトとメールは大きな役割を担っています。
Webサイトにはアクセスという概念があり、リアル店舗で言えば来店者数にあたります。Webサイトでは何人訪れたのかが明確に分かり、その他にも次のとおり、Webアクセスをさまざまな角度から検証することが可能になりました。
- どのページを見たのか
- どこから来たのか
- どんなデバイスからアクセスしているのか
- どんな属性を持っているユーザーなのか
それらの検証を可能にした代表的ツールが、Googleアナリティクスです。今ではほとんどのサイトに導入されているのではないでしょうか。データ分析というジャンルを一般レベルにまで普及させた画期的なツールです。しかし、Googleアナリティクスの弱点は、「誰が」何をしたのかが分からないことです。この点を踏まえて、次に進みましょう。
Webアクセスとユーザーを結びつけるには
メールは個人に紐づける便利な仕組みです。その基本的な機能は、お互いにメッセージを送ることですが、自分自身を認証するためにも使うことができます。つまり、メールはIDとしても利用できるのです。Webサービスやアプリでの登録の際、SNSを利用してログインすることもできますが、基本はメールアドレスが軸となっています。
そして、個人を特定できるメールアドレスの機能とWebサイト分析を融合するような新しい分析手法が進化していきました。Google Analyticsの弱点である、「個を特定した行動データが取れないこと」を克服しているとも言えます。Webサイトやアプリでの「誰が何をしたか」という行動データを収集し、そのデータからユーザーをより深く理解することができます。これがプロダクトアナリティクスです。そのアナリティクスツールの代表格である「Mixpanel(ミックスパネル)」は世界中のプロダクトに導入されています。行動データを分析することで、ビジネスの成長のために次に何をすべきかが判断できるようになったのです。では、どのようにデータからユーザーを理解するのでしょうか?