Webとアプリで実名性のグルメサービスを提供する「Retty」──その組織構成は?
「Retty」は、信頼できる友人や好みの合う人の口コミから自分にぴったりのお店を探すことのできる、実名性のグルメサービスだ。2010年の創業以来、「新たな『食体験』を創り上げ、人生をもっとHappyに」をビジョンに、未来のスタンダードとなる食体験を創るためのチャレンジを続け、2020年には東証マザーズ(現・グロース市場)への上場を果たした。
RettyではグルメサービスをWeb、アプリで提供。飲食店向けの商品機能としては、飲食店の予約、4000万人以上のRettyのユーザーに向けた広告、営業時間・席数・おすすめメニューの発信といった集客支援プランがある。一方、ユーザーの「好みに合うお店を知りたい」というニーズにも応えている。このように、BtoBの商品機能とBtoCのメディアを統括したプロダクトがRettyだ。
プロダクト部門執行役員 VPoPの野口大貴氏は、Rettyにおける既存事業のプロダクトオーナーを務めている。
エンジニアリング部門執行役員 VPoEの小迫明弘氏は、エンジニア全員が所属しているエンジニアリング部門の担当執行役員を務める。エンジニア全体のリソース配分やエンジニアの採用、評価制度の作成を担当。事業に合わせて適切にエンジニアの生産性を上げ、各所の要望に応えていくことをミッションとしている。
エンジニアリング部門シニアマネージャーの常松祐一氏は、大手電気機器メーカーの研究開発員を経て、2019年にRettyへ入社。BtoC Web/BtoB Web両方の開発責任者に加え、エンジニアリング組織のマネジメント・プロダクト開発プロセスのアジャイル変革に取り組んでおり、顧客にとって価値のあるプロダクトを、チーム一丸となって協力し、短期間にリリースする開発体制のあり方を模索している。
現在のRettyは、「口コミの投稿」「検索」「ネット予約」「飲食店向け商品」の4つのサービスを展開している。
「投稿や検索機能はリリースしてから長いサービスなので、成熟期にあるかなと思っています。ネット予約は他社と比べて後発のサービスなので、1→10の限りなく1に近いフェーズで、まだまだこれからというところがあります。飲食店向けのサービスは、コロナ禍で市場が変化したことから、改めてPMFを目指しているところです。また、モバイルオーダーをはじめ新規プロダクトも開発しており、これらは0→1あるいは1→10のフェーズです」(野口氏)
Rettyの開発チームは「大規模スクラム(LeSS)」を導入しており、プロダクト部門とエンジニアリング部門に分かれている。
プロダクト部門にはプロダクトマネージャー(以下、PM)とデザイナーが所属している。「ネット予約」「人から探す・投稿体験」「飲食店向け」の3つを含む4つのチームに分かれており、1チームは3~4名。ほかにプロダクトディスカバリー(※1)をPMと伴走するデータ分析チームがある。データ分析チームからPMになる人も多く、キャリアラダーとして確立されている。
「PMも3つの階層に分けています。複数領域を統括するシニアPM、1つの領域を担当するPM、PMとともにユーザーストーリーをリリースするプランナーがおり、現在、シニアPMが1名、PMが4名、プランナーが5名います」(野口氏)
エンジニアリング部門は4名から構成されるチームが7つあるが、チームごとに役割が明確なわけではなく、基本的にバックログの上から順番に作業を行っている。
「ただ、それぞれのチームがすべてに対応できるかというとそうではなく、チームによって得意な領域があるので、このチームはこの領域がメイン、この領域はサブ、という感じにはなっています。バックログを1回シャッフルして優先順位を決めた上で、上から順番にそれが得意なチームが取っていくという形です」(常松氏)
(※1) プロダクトディスカバリーについては、RettyのPMメンバーによるリレー連載「思い込みで創らない。アウトカムを生むプロダクトディスカバリーへの挑戦」も参照のこと。