日経BPは、マーケティング&イノベーション専門メディア「日経クロストレンド」が10月に調査を実施し作成した「マーケティング」「テクノロジー」「消費トレンド」の潮流を見極める「トレンドマップ 2022下半期」を11月24日に発表し、注目キーワードをランキング化した。
マーケティング、テクノロジー、消費の3分野は変化が激しくさまざまなバズワードが飛び交う。この中から中長期的に注目すべきトレンド(潮流)の見極めを目的とし、「日経クロストレンド」の活動に助言する外部アドバイザリーボード約50人や編集部の記者など各分野の専門家の知見を集約。その分析結果を「現時点での経済インパクト」と「将来性」の2つのスコアでマッピングしている。
今回の調査では、マーケティング分野の「リテールメディア」と、消費トレンド分野の「タイパ消費」「α世代」「越境EC」の4つのキーワードが新たに追加された。
おもなトピックスは以下の通り。
- 経済インパクトのスコアで「サブスクリプション」関連ワードが躍進
経済インパクトでは、マーケティング分野の「サブスクリプション型コマース」(スコア3.15)、消費トレンド分野の「サブスクリプション消費」(スコア3.47)、月額型のビジネスモデルの「サブスクリプション」に関連するワードが2分野でスコアの上昇幅で1位となった。スコアの上昇幅は前者が0.36ポイント、後者が0.55ポイントだった。
もはやサブスクは新しいマーケティング手法でも消費の選択肢でもなく、あらゆる業種でサービスが提供されている。新規顧客の奪い合いから既存顧客との関係強化へとビジネスモデルの重心が変わる中、サブスクで顧客とつながり続けることは多くの企業にとってより重要性を増している。サブスク型のビジネスが浸透し、多くの企業の収益を支える重要な柱の1つとなりつつあることが調査からも浮き彫りになった。
- 将来性スコアでは「インバウンド消費」「CRM」「CDP/DMP」が躍進
政府は9月22日に入国者上限の撤廃や個人の観光受け入れ解禁を発表するなど、新型コロナウイルス対応の水際対策を緩和した。1ドル=150円に迫る歴史的な円安も手伝って外国人観光客(インバウンド)の来日ニーズ拡大に期待がかかっている。消費者がかつての日常を取り戻しつつある中、インバウンド消費への期待が将来性スコアの上昇という形でも表れた。
マーケティング分野では「パーソナライゼーション」「CRM(顧客関係管理)」「CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)/DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)」といった、自社のデータを活用した顧客コミュニケーションを高度化する概念やツールが大きくスコアを伸ばした。その背景には、サード・パーティー・クッキーと呼ばれるデジタル広告の配信技術の利用に制限がかかり、既存のデジタル広告に広がる先行き不透明感がある。
こうした中、事業主が持つ自前のデータ「ファースト・パーティー・データ」の注目が高まっている。その具体的な活用方法やデータを蓄積する仕組みとして、上記3つのキーワードの将来性スコアが大きく上昇した。
- 新キーワード「リテールメディア」「タイパ消費」「α世代」の将来性スコアは高水準
リテールメディアとは、小売事業者が持つ顧客の購買データや行動データを活用した新たな広告事業のこと。米国ではアマゾン・ドット・コムなどのEC事業者に加え、米大手スーパーのウォルマートやターゲットといった実店舗を持つ小売りも参入しています。日本でも、マツモトキヨシ、ヤマダホールディングスといった小売企業が取り組み、9月1日にはセブン-イレブン・ジャパンが専門部署のリテールメディア推進部を発足させた。こうした注目度の高さを反映し、今回の調査でもリテールメディアの将来性スコアは3.96と比較的高い水準となった。
消費トレンド分野の新キーワード「タイパ消費」とは、Z世代(1990年半ば~2010年初頭に生まれた若者)を象徴する消費スタイルで、費やす時間に対して得られる成果や満足感を高める「タイムパフォーマンス(タイパ)」重視の消費スタイル。
今回の調査からZ世代に続く「α世代(22年に12歳以下の世代)」もキーワードとして追加された。いずれも将来性スコアが4.00以上と高水準となり、次世代の消費の主役として大きな期待を感じさせる結果となった。
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ProductZine編集部(プロダクトジンヘンシュウブ)
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