ユーザベースは、同社の運営するスタートアップ情報プラットフォーム「INITIAL」から、2023年(2023年1〜12月)の国内スタートアップ資金調達状況をまとめた「Japan Startup Finance 2023」レポートの速報「【最新版】2023年スタートアップ調達トレンド」を、1月25日にINITIAL内で公開した。
同速報によれば、2023年の国内スタートアップの資金調達額は7536億円と、過去最高だった2022年の9664億円を下回っている。後から判明するデータもあるため、実態としては少なくとも8500億円程度となる見込みではあるものの、2022年から実質的に約10%減となり、2021年並みの水準になると予想される。
概況としては、2021年から顕在化していたグロース市場への投資の低迷と市場株価の下落の影響が未上場の調達に現れた形となるものの、2021年をピークに約半減している欧米よりも影響が小さい結果となっている。
投資家の新規参入が一服したり、大型調達で存在感を見せていた海外投資家が出資を控えたりしたことに加えて、投資がシード・アーリーへ向かったことなどから、10億円以上、とりわけ50億円以上100億円未満のレンジの資金調達では、金額・社数ともに減少した。
一方で、VCや事業法人、金融機関が支えた結果、100億円超の調達は過去最高の8件に達し、特に研究開発型スタートアップの大型調達が多くを占めている。また、調達額は減少したものの、調達社数は前年同時期(2224社)よりも27%増の2828社だった。
スタートアップのIPOは見送る動きがみられ減少傾向で、M&Aは伝統企業によるスタートアップの取り込みや、スイングバイIPOを目指す戦略的なM&Aなど、少しずつ活性化の動きがみられる。
金融機関による融資や国の支援、事業法人のスタートアップに対する積極姿勢など、不安材料ばかりではなく、欧米と比較すれば相対的に好調な環境といえる。一方で、IPO環境の低迷が長引けば2013年から設立数が拡大したファンドの償還期限、レイター投資家の数といった課題が、色濃く影響していくと予想される。
詳細なレポートは、1月31日にINITIAL内で公開され、同レポートではINITIAL独自に調査・集計したデータを、100点以上の図表とともに掲載する予定となっており、スタートアップの資金調達動向を網羅的に把握できる。
さらに、同レポートに関する解説や記事、市場全体の動向に関する分析、今後の見通しなどを解説するオンラインセミナー「【解説セミナー】2023年 スタートアップ資金調達動向 -Japan Startup Finance 2023-」を2月15日に開催する。
同セミナーでは、ベンチャーキャピタル・アニマルスピリッツを運営する朝倉祐介氏と、同レポートの執筆者であるユーザベースのシニアアナリスト・森敦子氏による、スタートアップ最新動向の経済的・心象的変化を含む解説が行われる。
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ProductZine編集部(プロダクトジンヘンシュウブ)
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