Contentsquareは、「2024年 デジタルエクスペリエンス・ベンチマークレポート」の日本語版を、2月15日に公開した。同レポートは、国内を含む全世界3590のWebサイトを対象に、430億のWebサイト訪問と2000億のページ閲覧におけるユーザー行動を統計的に分析し、その動向をまとめた最新の調査となる。
同レポートではデジタル体験の重要なKPIにフォーカスし、ユーザーのフラストレーションとなる体験とそれがもたらす影響を探ることで、デジタルカスタマージャーニー全体の傾向を分析している。それらの傾向から、デジタル業界のリーダーたちがユーザー体験を最適化し、サイトの訪問価値を高められるようなインサイトを提供する。
調査結果のサマリーは以下の通り。
- 調査対象としたWebサイトの55%でトラフィックが減少し、58%でセッション消費が低下。また、調査対象のWebサイト全体で見るとコンバージョンが前年比5.5%減少していることが明らかに
- 全Webサイト訪問の40%に、技術的なエラーや、ページの読み込みの遅さ、レイジクリックなど、改善が可能なフリクションが含まれていることも確認
同レポートに記載されているポイントは以下の通り。
モバイルからの訪問者はマイクロビジットが多い
2023年第4四半期(10~12月)において、Webサイトのトラフィック全体でモバイルデバイスからの閲覧が70%を占めたにもかかわらず、その閲覧時間はデスクトップデバイスからの閲覧時間よりも60%短くなっている。このような「マイクロビジット」はコンバージョン率の低下につながっており、モバイルWeb(モバイルデバイスからのWebサイトの閲覧)に消費者が寄せる期待と、サイト運営者側の最適化の取り組みにギャップがあることを浮き彫りにしている。
トラフィックソースは有料チャネルが拡大、検索広告はペイドソーシャルの4倍のコンバージョンを促進
本年度の調査において、Webサイトへのトラフィックをチャネル別で見ると、検索連動型広告やソーシャル広告などの有料チャネルの比率が全体の3分の1を占め、新規訪問に絞ると36%に達した。モバイルWebでは有料チャネルからのトラフィックが全体の40%を占め、これはデスクトップの2倍に相当する。
今回の調査においてWebサイト全体でのトラフィックは対前年比で減少したが、数少ないながらもトラフィックが増加したチャネルもあり、その一つがペイドソーシャルであった。しかし、ペイドソーシャル由来のトラフィックはコンバージョンが低い傾向があり、検索広告に比べてコンバージョン率が1/4にとどまった。ペイドソーシャルからの訪問は必ずしも意図的ではない場合があり、直帰率を見ると検索広告よりも41%高くなっている。ペイドソーシャルからの訪問者は、魅力的なストーリーやインフルエンサーに惹かれて広告をタップしており、検索広告からの訪問者とは異なって、意図せずにWebサイトを訪問している可能性がある。
フラストレーションが生む隠れたコストが増大
訪問者にフラストレーションを感じさせることは、貴重な訪問を無駄にすることに等しいと言える。読み込みに時間がかかり(3秒以上かかる)、訪問者のインタラクションへの反応が悪いWebサイトは、エンゲージメントを15%低下させる。
レイジクリック(同調査では「2秒以内に同一要素を3回以上クリックすること」を条件にしている)は、全セッションの5.5%に見られ、多くの訪問者がフラストレーションを感じていることがあらためて明らかになった。
Webサイトの来訪時にさまざまな要因でフラストレーションを感じる割合について、昨年度の調査(2023年度版:集計期間は2021年10月~2022年12月)では「3回に1回」という結果だったところ、今回の調査ではその頻度がさらに高まり「5回に2回」まで増加している。
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
ProductZine編集部(プロダクトジンヘンシュウブ)
「プロダクト開発」にフォーカスしたオンラインメディアです。プロダクトマネージャーや、プロダクトマネージャーを目指す方をはじめ、チームメンバーや事業責任者、テックリードなど、プロダクト開発を「正しく」進めていきたいすべての人のために、プロダクトマネジメントに関するあらゆる知見をお届けします。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア